内容説明
京都路地裏にある「ジャスミン荘」は、居酒屋や喫茶店が軒を連ねる昔ながらの長屋。摩利が大家さんになってから、住人は路地入口の伝言板に毎日メッセージを書く約束なのだが、ある朝、ひとつ空欄が。部屋を訪ねると、中に死体!?この長屋は私が守る! 居酒屋店主の絶品料理と、イケメン刑事の笑顔をエネルギーに、摩利は果敢に謎解きに挑む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
102
ミステリーではあるが、柏井壽氏らしく京都の良さが伝わってくる小説。たとえばプロローグを読むだけでも京都のイイものはそこかしこにちりばめられている。『開化堂』の茶筒、『柳月堂』のパン、『柳桜園』のほうじ茶、『ミール・ミィ』のミルクジャムと京都の良いもの、おいしいものが出てきて嬉しくなる。新興の行列が出来るうどん屋と町中の食堂のこしぬけうどんをめぐる考察など、今年の春に上梓された『グルメぎらい』(光文社新書)に通じるところがあると感じた。 2018/11/03
野のこ
67
京都のグルメやスポットが気になるくらい詳しく書かれててました。「柳月堂」のパン「ミール・ミィ」のミルクジャム。柏井さんの京都へのこだわりと愛を感じた。あと京都で住むってちょっとこわいなぁって改めて思った。摩利さん食欲旺盛なのはステキでした!またイケメンを好きになるのは共感だけど、ヒガシは影が薄くてイマイチ魅力が分からなかったし、鬼塚は好きになれなかった。あれっ?そういえば最初に超能力があるって設定、あれは一体なんだったんだ?2019/07/13
はつばあば
63
美味しそうな料理の数々に病院食の悲しさよ。いやいや何もせずにおよばれしている事に感謝。京都の刑事さんもこれだけ傍若無人では無いと思うが・・。お酒に涎が・・いやいや云うまい。本を味わってこそ我が世の春ぞ(入院ボケ)2017/08/25
ミーコ
59
京都が舞台。長屋の大家さんとなった摩利だけど、ジャスミン荘に次々と事件が起こる。殺人事件から始まったので重い話になるのかと思いきや、軽いタッチなのでスイスイ読める。主人公の摩利が惚れっぽいのに少々引き気味になるけど 面白く読めました。続編が出たら是非 読みたい。次郎さんの美味しそうな料理が食べてみたいです。2016/10/10
すい
56
京都の十軒長屋を舞台にしたミステリー短編集。殺人事件とか幽霊騒ぎとか色々起こるけれど、肝心なのはそこじゃない。京都人との共存の難しさこそが、本書の根幹を支えている肝でしょう。なかなか受け入れてはくれないけれど、内に入ってしまえば温かい。そんな京都人の粋を感じた読後感。続編が早く読みたいな。2016/09/27