内容説明
航空上の脅威となる、強大な“人狗(ヒトイヌ)”の襲撃から〈共和国〉の緑化政策船団を護る生体兵器として生まれた少女・員(エン)。百年に一度、たった半年の任務のために存在している員は、ある日情報が枯れきった互聯網(ネツト)で、cyと名乗る人物に呼びかけられる。「会えて嬉しい。僕は常に一人だから」――ぎこちない会話を交わすうちに、員は彼に直接会いたいと願うようになる。だが、共和国による細菌兵器散布の脅威がcyに迫っていた。彼女は彼を救うため、二百二十一隻の船に戦いを挑む決意を固める。絶望的な戦力差を超えて、員はcyの元に辿り着くことができるのか。鮮烈な印象を残す本格SF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
橘
39
とても切なく面白かったです。永く生きる生体兵器の員が、ネットの海で出会ったcyに会いに行くために、単身で200隻を超える艦隊に闘いを挑む、という大筋でもう好きです。文体が硬質なためか、世界観も硬かったのですが、読み進めていくうちに作品の終わりかけた世界が朧げに立ち上がってくる、というのも好みです。員とcyのやりとりが7文字という制限があるのも切ないですし、cyの正体も、物語の唐突な幕切れも切ないものでした。あと清がかわいい。想像力を駆使されられた楽しい読書でした。2017/03/29
Junichi Yamaguchi
21
『生き方』… 壮大過ぎるほどの世界の中で、小さな恋のメロディーは流れだす。 個人的に時代物からのSFだったからか、軽いパニックにおちいった。。2016/08/23
ヱロ本Gメン
12
面白かったがこの結末をどう捉えていいのか。世界観はゴッドイーター的であり物語はシドニアっぽい。失われ続ける物語は未だ滅びの途中であり、それは腐敗する道士の体と同じだ。ガジェットが積み重なる世界観は魅力的であり、この世界観のままシリーズ化を希望する。また別の員の物語、そして清の物語に期待。2016/08/12
キーツ(Nob Arakawa)
10
あれこれと詰め込んだ意欲的な作品であることは間違いない。クロハシリーズからすれば随分と表現力に進化を見せてはいるもののあと一歩の詰め切れなさがまだこの作家さんの成長余力とみるべきか。文体に関してはかなり意識して読感を統一できており情景の描写は高いレベルにある印象だが、キャラの深み描写が吾輩的にはもう一歩踏み込んで欲しかった。もっともこれ以上くどく描写しても硬質なイメージが崩れる可能性もあり難しいものよなぁとも。2017/03/16
浅木原
8
文明の滅びゆく世界で、孤独な生体兵器の少女が荒廃したネットの片隅、七文字の空白を通じて出逢った友達に会いに行くため、200隻を超える航空輸送船団に単身戦いを挑む――もうこの設定だけで素晴らしいけど、殊に員とcyの14バイトの会話はときめきMAX。脳内に「ストラトスフィア」が流れつつ、ほぼ空中戦オンリーの話を一気に読ませてcyの正体とラストシーンであああ^~~~~となる。惜しむらくは群像劇スタイルの話としては短すぎることで、外側のキャラたちをガンガン出すならもっと長く書いてほしかったと思うけど、面白かった。2016/09/06
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