河出文庫<br> コロンブスの犬

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河出文庫
コロンブスの犬

  • 著者名:管啓次郎【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 河出書房新社(2016/08発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309411118

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内容説明

『野生哲学』などで注目の詩人思想家の伝説的なデビュー作が港千尋の写真とともに二十二年をへて復活。サンパウロに滞在しながら旅を、そして世界を問うみずみずしい反旅行記。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

43
詩人翻訳家比較文学者の明大教授が25才のころに書いたデビュー作の文庫化。南米滞在中に書いた未完の紀行エッセイ。論考や思想書の引用の切れ端で構成されている。みずみずしい文章が実に痺れる。感想を書こうと下手な言葉を連ねることを恥ずかしく感じる。引用を紹介するにもどこから選ぶかに悩んでしまった。2015/02/06

スミス市松

16
あどけなさと、みずみずしさと、苦悩に満ちた言葉で書き綴ったそれは、どこか遠い国から届いた手紙の束のようで、同時に、いつの日かまた別の遠い国へ送ることになるはずの手紙の束のように思えた。「もうすべての旅は試みられてしまった」「どう書けば旅を書いたといえるのか」と著者は嘆く。しかし、ここに書かれている文章は、明らかに、どこか別のところからやってきて、そしてまた別のところへ去っていくことを運命づけられている。2017/12/13

Roti

11
旅の紀行文ではない。思考の旅の記録。そして歴史を旅し、今ある土地に根を張った人の記録と文化の足跡をたどる記録。晦渋な表現も多いが、心地よい言葉に酩酊し、1980年代に南米を歩いた作者の目線とシンクロナイズし、行間のなかに街を見出しさまよい歩く。陸の続くところに歩みを進め、海を渡り、山を越えて理想の地を探し求めた人類の求め続けたものを求める遺伝子が自分の中で想起し、波立つ心地よさに溺れながら。2018/09/12

gu

7
すべての旅は既になされてしまったという諦念から始まるこの本のなかで、語り手(=管啓次郎)は、旅を記述するなんて、そもそも何かを認識するなんて本当に可能なのかと問いを発し続ける。その場所を離れた瞬間から忘却は始まり、残るのは一つ二つの印象だけ、それもやがて消え去ってしまう。ちょうど読み終えたこの本自体がそうであるように。でもその印象は完全に消えたわけではなく、溶け合い混ざり合い、自分という存在を解体して組み直し、そして行き先まで変えていく。一冊の本は一冊の本であるだけでなく、一つの旅もそれだけで完結しない。2017/01/30

gu

6
読んだから旅をする、旅について書かれた本を読む・・・etc、旅という言葉と書物という言葉の可能な限りの組み合わせで文章が書かれている、ように感じる。付箋貼り付けて箴言集のように読んでしまったのが良いことなのかはわからない。冒頭から下手な旅人の定義が示されて下手な側に身を置いて書かれたこの本は、小説が書けないことを書く小説のように旅の不可能性を語っている。それでも、移動と、自分自身の解体と再編集を続けていかなくてはいけないのだと思う。2015/05/31

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