内容説明
伝説的アイドル、ピンク・レディーを手掛け、『津軽海峡・冬景色』をはじめ、生涯に五千作におよぶ歌をのこした作詞家阿久悠。敗戦で価値観の大転換を経験した少年が、時代を食らい、歌謡界の巨人へと駆け上がった軌跡、最期までこだわり続けた「言葉」への執念――。丹念な取材を元に綴られた傑作ノンフィクション。
目次
プロローグ 三十二年目の津軽海峡・冬景色
第一章 墨ぬり少年の履歴書
第二章 「阿久 悠」の誕生
第三章 遅れてきた作詞家
第四章 時代を叩け
第五章 少女たちのサクセス
第六章 魔球はハリケーン
第七章 「父」なき世代
第八章 やせがまん
第九章 八月の光
エピローグ そして歌は星になった
あとがき
参考・引用文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よし
9
5000曲もの作詞を手がけた阿久悠の人生をあの重松清が懇々として語っていく。「敗戦で価値観の大転換を経験した少年が、時代を食らい、歌謡界の巨人へと駆け上がった軌跡、最期までこだわり続けた「言葉」への執念」ふるさと淡路島を捨て東京へ。屈折した青春時代。「月光仮面につられて」選んだ宣伝会社に難関を突破した面接試験のエピソード。あの「スター誕生」秘話、ピンクレディー神話も面白い。80年代歌謡曲時代が終わり「時代おくれの男になりたい・・」といった阿久。読み終えて、人間阿久悠の一生にため息が出てしまった。2019/08/15
シブ吉
8
歌手と真剣に向き合い、時代と真剣に向き合った「阿久悠」さんの航跡を、重松清さんが追いかけた一冊。詩にたくした想いの数々と、作詞家同士の「意地」、作曲者との「共犯関係」が垣間見え、相乗効果が生んだ「名曲」たちは、時代を超えて生き続けていくのでしょう。読了後、改めて聴いた、河島英五さんの「時代おくれ」。いまの年齢になってはじめて、この詩が身に染みています。2012/09/17
わらびん
6
レコード購入なくCD世代の自分としては阿久悠といえば昭和の歌謡のイメージ。ナツメロとは行かないまでも、少し過去を思い出させる。ふっと昔聞いたことのあるメロディーを調べてみると彼が作詞というのはたくさんある。街中から聞こえてくることとウォークマンで聞くこと、昭和から平成へと、区切りをつけたくなるが、大衆っていいよねと暖かみを感じた読後。古き良き時代と言う言葉で纏めたくないものの、青年から中年に変わる30代中盤の自分には、ホット懐かしめることができた。2013/11/12
yamatoshiuruhashi
5
阿久悠を追ったノンフィクション。膨大な量の「流行歌」の作詞家にして作家。彼とちょうど20年遅れて生まれた私は大学を卒業した阿久悠が流行曲の作詞家として動き始めるときに、まさに聞くつもりもなく彼の歌を聞きはじめ、その一つの象徴としてのピンクレディー時代は私自身が学生の後半だった。その使い捨てるような歌の数々と「瀬戸内少年野球団」という小説の言葉の重さの違いにギャップを感じていたのだが、本書により阿久悠像を修正。それぞれのテーマ、場面に応じた言葉の真剣勝負だったのかもしれない。2015/02/15
生活相談屋
5
非実存を歌う歌謡曲の世界。その世界で頂点に立った男の物語。商業ベースの言葉を扱う達人が、その心の奥にどんな切実を抱えていたのか。そこに興味をそそられて読み始めた。。もしかしたら何もなかったのかもしれない。最後の最後まで「売れる」ことが彼にとっての願いの全てだったのかもしれない。作詞家として成功した後、同窓会に真っ白なスーツで現れるわかりやすく浅いキャラ。でも紛れもなく彼の言葉は大衆の圧倒的な支持を得た。誰にも破れない金字塔を打ち立てた。そのギャップが謎めいていて、魅力的だった。2015/02/04
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