内容説明
S大学医学部助教授・諸岡敬之の妻、有己子には夫の同期・久坂利輔との間に秘密があった。なぜか彼に惹かれ、入籍直前に関係を持ったのである。あれから七年。久坂と邂逅したがために、有己子の秘めた愛に再び火がついた――。許されざる愛に落ちる妻の姿を研ぎ澄まされた筆致で描く、渡辺淳一文学初期の傑作長編ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ながのゆうこ
8
ひゃーびっくりした、凄い復讐・・。何かザワザワと違和感を感じることには必ずや原因があって解きほぐす努力を怠るとやがてたいへんなことになっちゃう、有己子は相手を批判するだけでなく自分の心に手を当ててよく考えてみるべきだったな、でも何か決定的なことが起きないと自分の気持ちに気づかなかったり決断できないことはよくあることで、夫のしたことは愚かで哀しすぎるけど、このことでやっと有己子は自由になれた気がする。2017/10/27
ふみえ
7
当時の結婚観はこんなもんだとは思うが、主人公の言動も、夫の復讐も共に腹立たしい。勝手な夫婦に、いいように使われた久坂さんはどうすればいい?ムカついた。2018/07/12
凛誠
3
何か寒気の走るお話でした。男の嫉妬は女より怖いとはよく聞きますが、意味は若干違えども、その言葉を思い出した内容でした。2014/10/03
としき
0
幸せな家庭を築く男女に本当の愛が存在するのだろうか?愛とは永遠なものではなく男女の緊張関係の中に存在する!ごく当たり前に過ごす夫婦生活は確かに幸せなものであり、感謝すべきものであることには間違いない。しかし、そのひとつの愛に緊張感を持ち続けられる人はどれだけいるのだろうか?我々みんなと言っては批判を浴びるのだろうが、誰もが道義的に正しくないと心の奥底で閉じ込めている情念も持っているはずである。誰もがかように惑い、心揺れ動くものである感情が必ず存在するのではないのだろうか?渡辺淳一ワールド独特の物語だった。2015/09/06
のび太
0
この中の久坂はどんな心境なのか気になります。続きを考えてしまいました。2014/03/01