内容説明
【注 電子版にはCD(音声)はありません。ご了承ください】大東亜戦争の終戦の詔勅を成すにあたり、いかなる姿勢が日本にふさわしいか、戦後日本の復興を期すにあたり、陛下にどんな言葉を国民に語りかけていただくか。碩学・安岡正篤は、熟考の末、決め手となる二つの言葉を、詔勅に刻み込んだ。終戦というまさにギリギリの事態にあって、安岡はただ一人、「おめおめと負けたという事実として歴史にのこすことを避ける」という大局観に立って、珠玉の言葉を絞り出そうとしていた。本書は、それを自ら語った安岡自身の講話や、起きた事態を学問的見地から総覧した小堀桂一郎の解説、その他、安岡正篤のファンでもあまり知られていない資料・文献を収録して、終戦に至る実相に迫るものである。戦後70年を考えるに当たり、不可欠の一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆうきなかもと
8
「感激と奮発、これこそ人間の最も霊活な力である。然しながら、その発憤は必ず深い反省と相待たねばならぬ。反省なき憤発は一場の客気に止まり、憤発なき反省は要するに愚痴と悔恨とに堕し、共に論ずるに足らぬ。」安岡正篤が戦後すぐに暴発しようとする若者に託した文書の出だしである。この部分こそ、安岡の思想のエッセンスが込められていると思う。昭和思想史の研究者たちは、北一輝や大川周明などと比べて安岡を軽量級の思想家と扱うことが多いが、敗戦前後という大変な時期に果たした彼の役割は決して軽量に扱うことのできないものだと思う。2015/09/28
軍縮地球市民shinshin
6
終戦の詔勅を、安岡正篤が手を加えたことは知っていたが、詳しくは知らなかったので本書は勉強になった。安岡は「義命ノ存スル所」と改めたのだが、何者かが閣議に提出した際には「時運ノ命スル所」と改竄されて、それが閣議決定してしまったらしい。「義命」とは、『春秋左氏伝』の中の文章で、「大国が信を以て義を行い、義を以て命を下されるならば、小国は安心して大国のなす秩序に服するであろう」という意味らしい。意味が分からないという理由で「時運…」に改竄された。日本が連合国の信義を信頼して降伏するという意味がなくなってしまった2015/08/18
cocolate
0
『義命』 読めない感じが続出してつらかったが、読んでよかった。 CD付。講話を聴くことができた。2016/01/19