内容説明
「慰安婦問題」「朝日新聞問題」など、歴史戦の中心で論戦を繰り広げてきた現代史家である著者。その論は、実証的であり、イデオロギーにとらわれない立場から円熟の思考で練り上げられる、まさにプロの仕事である。本書は、「慰安婦問題」「朝日新聞問題」など、ここ数年の論考を全58編集成し「現代史の深淵」に光を当てる、読み応え十分の論文集である。とかく、本書で取り上げるような問題には、イデオロギーがつきものであるが、著者の姿勢は、「事実をもとに考えれば、自然な結論に至る」というものであり、論理的な無理が排されているため、それぞれに聞くべき考えが凝縮されている。これからの現代史研究のモデルとも言える、「秦郁彦入門」といってもいい一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たろーたん
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タイトルから余程のことが書いてあると思ったが、『正論』や『WiLL』に載せた評論のまとめだった。吉見義明への反論を期待したが、広義の強制性には答えられていないし、彼の論点が「強制連行」から「自由が剥奪された=性奴隷」に変わったとしているが、これにも致命的な打撃は加えられていない。朴裕河が言う通り、慰安婦の中でもグラデーションがあり、真っ黒から比較的白いものがある。秦の場合、その白い部分だけを切り取って「慰安婦たちは幸せそうでしょ」とし、黒いところは「彼女たちの証言のウラが取れていない」としてるだけ。(続)2024/09/27
depo
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慰安婦問題を中心として、その他雑誌等に寄稿した論稿を集めたもの。日韓合意の直後に出版されたものなので、「慰安婦問題の決算」という署名は「今度こそ一件落着に持ち込みたいとの期待感を込めた」からだったとのことだが、やはり韓国によって裏切られた。2020/03/12