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内容説明
「日本の天文学」の大転換は、江戸時代に起こった。日本独自の暦を初めて作った渋川春海、西洋天文学の導入を目指した徳川吉宗と麻田剛立、全国の測量で名を馳せた伊能忠敬、地動説に取り組んだ理論家の高橋至時、「機械おたく」の商人の間重富、シーボルト事件で獄死した悲運の秀才高橋景保……。先行するヨーロッパや中国の知識と格闘し、暦と宇宙の研究に情熱を燃やした江戸時代の天文学者たちの人生と思索をたどると、日本の宇宙観の変遷が見えてくる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
59
渋川春海をはじめとする江戸時代に活躍した天文学者たちの紹介。名前を知らない人が圧倒的に多かったし、吉宗がグローバルな学問の視点を持っていたことも意外だった。江戸時代、本当に面白い。2016/09/07
きさらぎ
8
麻田学派の書簡集からこのテーマに関心を持った著者らしく、江戸時代の科学者の世代間・同時代の交流と継承についての丁寧で温かい記述が気持ちいい。江戸天文学の黎明期を担った渋川春海の、改暦を可能にした運と人脈作りの力、そして不屈さと強かさ。それなしに改暦はなしえなかったし、彼の活躍により朝廷陰陽寮に代って幕府の天文方(新設)の台頭がなければ、その後の天文学の流れも違ったのではないか。麻田剛立と弟子高橋至時と間重富の活躍。蕃書調所の前身「蕃書和解御用」立ち上げの過程など、幕末好きとしてはゾクゾクするほど面白い。2018/12/06
プラス3
8
ヨーロッパ同様、江戸でも天文学は最先端の学問だった。占星術などと関わりが深かったため幕府の後押しも大きく、あの暴れん坊将軍なんかは観測機器の改良案を出すほど天体観測にハマっていたそうな。西洋の文献の流入(翻訳作業で過労死した学者も!)や観測技術の向上により、次第にそういう神秘性は消えていき、天王星の観測を行ったり、地動説にケプラーの法則、ニュートンの万有引力説などを知るまでになる。2016/09/25
アメヲトコ
7
渋川春海の貞享暦から幕府天文方の解体まで、江戸時代の天文学史を天文学者たちの群像史として描いた一冊。とりわけ早世の天才・高橋至時の人生は熱く、吉村昭の小説の主人公になりそう。伊能忠敬の地図作りも子午線1度の長さの測量の副産物だったのね。2021/02/15
keisuke
5
図書館。2022/01/23