内容説明
伊藤律(1913~1989)は戦中・戦後の共産党史で謎に包まれた存在でした。曰く「生きているユダ」「革命を売る男」。しかし、それらは日本共産党中央や、尾崎秀樹、松本清張などが貼った誤ったレッテルでした。伊藤の次男の著者とその母は党籍を離れず活動を続けました。それがどれほど苦しいことであったか、ある世代以上の人には容易に推察できるでしょう。本書はイデオロギーと家族の絆が織りなすドラマなのです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
13
予想通り、貪るように読んでしまった。伊藤律の次男が綴った伊藤家の戦後。著者は低学年の児童の頃から、刑事の尾行を直観的に察知する能力が備わったそうだ。伊藤律からの手紙が、家族の元へ届いた事を知らされた後の野坂参三の慌てぶり。伊藤律の葬儀の際、棺に赤旗を掛ける、剥がす、の応酬。重信房子からレバノンのケシの花の押花が届けられた等、家族だからこそ語れる大変興味深いエピソードが満載。しかし何と言っても、困難な状況の中、命がけで生きた著者の母であり伊藤律の妻である伊藤キミの存在が最も際立っていた。2017/09/21
sasha
6
「生きているユダ」「革命を売る男」のレッテルを貼られた伊藤律の次男による、律帰国を柱にして日本共産党の対応、父不在期間の家族史、帰国後の律の様子や死後の名誉回復を綴っている。日本共産党の対応の酷さにあんぐりなんだが、当時の執行部にとっては律生存・帰国の報は相当に都合が悪かったのだろう。著者の母であり律の妻・キミさんの芯の強さに心揺さぶられる。律への思いもあったのだろうが、母キミさんへの感謝の思いも込められた書だと感じた。2019/03/27
yomihajime
2
かつては「徳球」の右腕と呼ばれ、その後は「日本のユダ」と批判された伊藤律。朝日の架空会見記事でも知られる。そのご子息による伊藤の名誉回復の著。北京以降の伊藤とその家族の戦後史の貴重な記録にもなる。共産党員の子は共産党員、そして関連の組織の中で代々働く。家族主義的な一つの企業だな、共産党はとの感慨も。現執行部はどのような見解を持ってるのだろうか。こういうときにだけは教条主義的なかつての対応をするのだろうか、それとも「やわらか頭」の対応をするんだろうか?後者を期待したい。2016/08/18
Takamitsu Tsubo
0
大先輩が読んでみて欲しいと貸してくれた。興味深すぎる内容だったので一気に読む。 著者は伊藤律の息子さん。 これまで読み、聞きしていた伊藤律のイメージが一気に崩れた。 2016/09/09
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