内容説明
青木ヶ原で白骨化した死体が語る真実、自殺死体の行方、首つり自殺の落とし穴、一酸化炭素中毒の恐怖、家族の苦渋、21世紀の検死システムなど、変死体解剖歴30数年の著者が自殺死体から読みとった事実を明かす!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
104
自殺死体がどのように発見され、検視、監察されるのか、青木ヶ原樹海レポートに始まり、昨今の自殺事情に関して綴られている。ただ、自殺を食い止めようなどという意図は見えず、終始淡々と法医学に関しての話が進められるので、読み手によっては疑問を感じる人もいるかもしれない。あくまでも冷静な客観視と理論と結果のみ。人の死に慣れてしまっている部分は否めない。でも遺族にとっては遺言以上のメッセージを残す場合もあって重要な役割を果たす分野。そういう意味では最後の「死者の名医」の条件はなかなか興味深かった。2013/05/10
kinkin
27
毎年3万人以上の自殺者がいるという。理由はそれぞれにあるが、毎日80人から90人が命を落としていることだ。自殺大国という不名誉なたとえがされている日本。これからも増加しそうな社会になりつつある。どうすれば自殺を減らせるのかを真剣に考える時期だと思った。また著者のような監察医が 各県に全ていないということが残念だ。監察医の仕事の大変さがよくわかった。2014/04/25
James Hayashi
22
自殺死体がメインで語られるが、先日読んだ「死体は語る」と被っている部分が多々ある。2020/05/25
GaGa
11
監察医の立ち場から遭遇した自殺遺体の惨めさを描写している。筆者は作中でいかに自殺が家族や他者に迷惑をかけるかを再三訴えているが、おそらく自殺を望むものはこのような本は読まないだろう。自殺の抑止にはやはり社会環境を正すことが必要であると思わされた。2010/06/17
ジョニジョニ
10
書名はコワイけど、内容は著者が前から書いていることがほとんどです。そんななか、文庫版あとがきの”自らの生命を絶つのであるから、若ければ若いほど体は死に抵抗する。だから自殺の手段はなんであれ、苦痛を伴うものである。安楽に死ねる方法はない”という一文はグッときました。楽に死ぬ時があるとしたら、それはきっと生きる力をなくした体になった時であって、死にたいと心が思った時ではない。2018/11/25