内容説明
二〇一五NHK大河ドラマは「花燃ゆ」。その主人公・文の兄が、維新の革命家吉田松陰。彼女が慕った実践の人、「至誠の詩人」の魂を描き尽くす傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
86
吉田松陰の生涯をサクッと知るにはいいと思いました。元々少年少女向けに書かれたということもあり、とてもわかりやすかったです。簡潔で読みやすい。おそらく単純すぎず難しすぎずというさじ加減が良いのでしょう。短い生涯を小説のように書いているのも入りやすいところだと思います。尊王攘夷を掲げ、時代を疾走していったその生き方に寄り添うように語られている印象を受けました。松陰先生の意志を継いだ志士たちがそれぞれの生き方で思想を花開いていったのも先生の人徳ならではでしょうね。2016/11/26
5 よういち
71
吉田松陰の生涯について時系列的に書かれた松陰入門書として最適な本。吉田松陰についての多くの書籍は研究書で難解ものなため敬遠されがちであるが、短くも激しく生き、明治維新のきっかけを作った魅力ある若者の生き様が良くわかった。◆先日訪れた萩を楽しむために旅行中に読み上げるは予定だったが、美味しいものと美味しいお酒にかまけて読み切れなかった。あぁ、これは松陰が江戸を訪れたときに書いた『東遊日記』の「欲望に任せて食べ物をむさぼり、無駄使いをした。」と記したくだりそのものだww ◆11歳にして藩主に軍法を講論2018/09/05
Masaki Fujii
6
吉田松陰先生については小さいころから折に触れて偉大さを教えられてはいたけれど、NHK大河ドラマを期に読んでみた。古川氏の他の維新の志士についての小説とは一線を画した作であるように感じた。改めて松陰先生の教育者としての素晴らしさが伝わった。2015/01/29
まゆっち
5
幕末には苦手意識があったのですが、意外と面白かったです。吉田松陰と言えば、松下村塾、安政の大獄くらいの知識しかなかったのですが、ペリーに会ったり、あちこち旅をしたり、短い人生で様々な経験をした人だということがわかりました。弟子たちの行く末は悲しいですが、志は受け継がれましたね。2020/05/22
ごゆるりと
3
⭐️⭐️ 少し背伸びした少年少女向けに書かれた入門書だけあって読みやすい。随所に松陰の原文を分かりやすい現代語訳に変え紹介してくれ、できるだけ事実に即した生涯を掘り下げようとしてくれている。ただ、松陰目線の一方通行感が否めず、他藩や幕府や朝廷の動向が簡略化され過ぎているところが残念。松陰の読書量、行動力には脱帽ではあるが、学者との交流が中心で、実務にあたる人との接触があまりなかったこと、長い蟄居生活に入り、実際の現場を肌感覚で捉えることができなかったことが、独りよがりな思想に固執してしまったように感じた。2021/01/23