内容説明
二〇一二年十月に亡くなった著者の代表作集。直木賞受賞作「鬼の詩」、運命的な師・映画監督川島雄三のモデル小説「生きいそぎの記」他、「贋芸人抄」「下座地獄」、講演「師匠・川島雄三を語る」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
187
第71回(1974年)直木賞。 桂馬喬という大阪芸人の生き様を 活写した作品である。芸に生きる馬喬の 執念が凄まじい …几帳面さと 異常さが交錯し、 芸に打ち込む馬喬の人生 …大阪の芸人の情念が 哀しさが しっかりと描き込まれている、そんな作品だった。 2017/09/22
harass
53
著者の傑作短篇集。正直この一冊だけでこの作家は十分かと。直木賞受賞作『鬼の詩』は実在の幕末の落語家をモデルにした小説。映画化されていて偶然に深夜番組で見ていたのを思い出した。芸の道を突き進めて実際に堕ちていきギリギリの生き様を見世物にする。ほかに底辺の上方芸人の小説が二編。川島雄三監督との仕事と付き合いを描く『生きいそぎの記』はこの鬼才を語る上で重要な作品で、文庫で読めるのは素晴らしい。進行性筋萎縮の難病を持っていて酒と女と芸術に打ち込んだ売れっ子の映画監督の言動をまとめている。ぜひおすすめの本。2014/10/17
更夜
15
直木賞受賞した『鬼の詩』を含む映画人や大正・昭和の上方芸人の姿を描く4篇と川島雄三監督の思い出を語った講演が含まれています。時代は違うのかもしれませんが、芸というものに命を張る人びとの地獄をこれでもか、と描いていてとても重い小説集でした。人を笑わせ、楽しませる、映画といった娯楽なのに、それを作り出す、演じる人たちの苦しみや葛藤を厳格な文章で描き出します。読んで、ぐったり。2015/08/30
MIKETOM
5
第71回(昭和47年)直木賞。皆さんのレビューを読んでると絶賛コメで溢れてるが、正直に言わせてもらえば全然面白くなかった。全四編(直木賞対象は一編)全てが大阪の芸人の壮絶な人生を描いた物であり、そういうの別に嫌いじゃないのだが、なんせ文体もプロットも俺には全く合わない。読み進めようという気持ちにはなれなかった。全編、半分も読まないうちに、あ~あ、早く読み終わらないかなぁとばかり思っていた。末尾の、藤本が青森で行った講演の内容を掲載したもののほうがまだしも読めた。たまにはこういうのもあるさ。2025/08/25
メデスキ
5
名前を冠した賞が出来るとのころで、再読。『鬼の詩』は文学とは思えないが、エンタメ感を満載した迫力な狂気が凄いよね。他の短編もそうだが、底辺描くのにブレがねえ。
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