岩波新書<br> 〈文化〉を捉え直す - カルチュラル・セキュリティの発想

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岩波新書
〈文化〉を捉え直す - カルチュラル・セキュリティの発想

  • 著者名:渡辺靖
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 岩波書店(2016/07発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
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  • ISBN:9784004315735

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内容説明

近年,人々や社会,国家のアイデンティティの根幹に関わる,一人一人の文化的リテラシーを問われる場面が多くなっている.固有の文化とは何なのか? 守るべき文化とは? あるいは文化を政策に活用することの是非は? 国内外の最新の動向を紹介し,観念論と政策論の双方の視点から,文化の新しい使い方,その危険性と可能性を考察する.

目次

目  次
   はしがき──「文化」は、いま

 第一章 グローバリゼーションは「文化」を殺す?
  1 スーパーモダン
  2 ポストモダン
  3 肯定派と否定派
  4 保守派とリベラル派内部の不協和音
  5 ナショナルな次元の重要性
  6 重層的なガバナンス
  7 グローカリゼーション
   スローフード/創作エイサー/先住民族
  8 搾取される「伝統文化」
  9 ハイリスク・ハイリターンの皮肉
  10 「われわれはみんなペストの中にいるのだ」

 第二章 台頭する「人間の安全保障」という視点
  1 格差の再編成
  2 新自由主義の論理と力学
   オーディット文化/消費者至上主義/市場化される精神性と身体性/ 〈帝国〉の権力とネットワーク
  3 「人間の安全保障」
  4 セーフティーネットとしての文化
  5 教育の挑戦
  6 製品の可能性
  7 言語という権利
  8 方便としての文化
  9 文化相対主義の陥穽

 第三章 ソフトパワーをめぐる競合
  1 ソフトパワーをめぐる狂想曲
   文化の地政学/ソフトパワーとしての「人間の安全保障」
  2 パブリック・ディプロマシーの時代
  3 「対外発信強化」の陥穽
  4 道義的な高潔さ
  5 「支配」から「支援」へ
  6 グローバル・シビリアン・パワー

 第四章 新しい担い手たち
  1 政策的価値は「不純」か?
  2 ガバナンスの新たな潮流
  3 米国モデルの優位性
  4 創発的な試み
  5 日本が直面する課題
   評価や測定は可能か
 第五章 理論と政策の狭間で
  1 「離見の見」
  2 構築主義
  3 境界線への眼差し
  4 境界線を編み直す
   芸術という試み/市場という試み/政治という試み/外交という試み/リベラル・アーツという試み/文化人類学という試み
  5 「文化」を語れなくなった時代
  6 一九九〇年代の米国の経験
  7 新たな問い
   おわりに──「文化」の未来
   あとがき──ピーボディ四六号室

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

39
文化とは教養から知識、信仰、信条、意識、言説、芸術、価値、道徳、習慣、伝統まで、広範。人間の安全保障やソフトパワーといった非伝統的な安保にも焦点を当てて考察した一冊(ⅺ頁)。グローカリゼーション:ロバートソンの概念で、普遍主義の個別化と個別主義の普遍化の相互作用(22頁)。一見、能動的な主体による実践そのものが、実は、構造を再生産し、強化しているのではないかという視点は重要(39頁)。2016/02/11

kaizen@名古屋de朝活読書会

22
#感想歌 #短歌 表現の自由と暴力境界線(border line)太く不鮮明参与観察(field work)  2017/03/22

Nobu A

10
図書館本読了。グローバル化が進む中、変容し続ける文化の在り方を問う。安全保障と言う視点を始め、様々な見方があり、政治や経済等と複雑に絡み合う。文化戦争と称し、国や地方の思惑も見え隠れする混沌とした世界。「ソフトパワー」と言う概念が興味深い。パブリック・ディプロマシーの成功事例の紹介。筆者のこれまでの足取りと本のタイトルに隠された意図。伝統文化、能楽の「離見の見」の精神に導かれた探究心と筆者の文化人類学や隣接分野からの視点や知見をいかに現代文脈に置き換え、次世代に継承していくかの叙述が深く心に残った。2017/10/31

nishi

9
文化とは営みであるという原点に立ち返りながら、昨今の文化同士の対立について疑問を投げかけている。文化とは本来分かち合うものであり、他者との境界線をつけるためのものではない。これが為政者によって境界線付けに利用されている現実を認識すべきであると感じた。その中で、暗黙的に引かれた境界線を可視化する芸術の重要性も大きいと思った。2021/11/21

やまやま

9
トランプ大統領出現前の執筆である。人間の安全保障の面から、ジョセフ・ナイ氏のソフトパワー論を展開して、発信側の器量の大きさを「メタ・ソフトパワー」と呼び、リベラルデモクラシーが権威主義の国々に対して優位に立つという議論を紹介している。ただ、コロナを経て、むしろ渡辺一夫氏の説く現状を内省的に捉える姿勢の方が、文化政策においても一層説得力を増しているように思える。留学生時代の生活経験が著作に多く影響していることは十分に感じられた。一方、文化政策では、国家の関与が少ない米国が優良モデルと評されるのは、さて。2020/07/03

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