内容説明
海の宝石と称され,その華麗な色や形態からダイバーたちに大人気の海洋生物ウミウシ.しかし美しい姿とは裏腹にヒトが想像もつかないような驚くべき繁殖戦略をおこなっている! ウミウシをはじめ,奇想天外なあの手この手を駆使してたくましく生きる海の生き物たちのふしぎと海洋動物を対象とする行動生物学者たちの姿に迫るエッセイ.
目次
目 次
1 使い捨てペニス
ウミウシの聖地/闘うヒラムシ/雌雄同体の葛藤/使い捨てペニスとその補充
2 雌と雄の対立
子育てのコスト/雌でもあり、雄でもあり/媚薬は恐い/共食いの謎/贈り物に隠された計略
3 海の動物たち
ラッコはかわいい/草むらのペンギン/行動学者の海中実験/シーラカンス
4 消えたサンゴ礁
サンゴ誕生、そして消失/はるかなるブダイの群れ/さまよえるクラカオスズメ/サンゴが成熟するとき/豊穣の海の動物たちはどこへ
5 夢に見た臨海実習
夢の臨海実習/油壺のアメリカ流磯観察/楽しい下田実習
6 博物館の光と陰
ヒトはなぜ水族館に行くのか?/栄光のフランス博物学は彼方/博物館で進化を学ぶ/博物館と美術館
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
398
実に色鮮やかなウミウシ。ブルーやピンク、グリーン。ドットにシマシマ、模様だって変化に富んでいる。形もナマコ型ばかりじゃない。黄色が輝くピカチューモデルだって存在する。こんなに多様でありながら、これらがみんなウミウシ。実に不思議な生き物だ。ところが、何故こんなにいろんな色柄をまとっているのかはよくわかっていないらしい。毒を持っていることを捕食者にアピールしているのだが、当のウミウシ自身は色彩を識別できないらしい。あれで結構謎めいた生物のようなのだ。可愛いウイウシへの興味は尽きない。2021/04/06
kinkin
73
うみうしについても興味があったこととタイトルに惹かれて読んだ。うみうしについては科学的な専門用語も多く研究されている方以外は,すこしわかりにくいかも入れないと感じた。この本の後半は、生物に関するエッセイ集で個人的にはむしろこちらのほうが読みやすくラッコのことシーラカンスのこと「ひとはなぜ水族館にいくのか」などが面白かった。図書館本。2016/03/25
emi
38
ウミウシといいつつ、ウミウシ少なめの海洋生物にまつわるエッセイ本。ウミウシが何者なのかも知らずに読みましたが、結局ウミウシは何者なのかは…。ですが、ふだん物語漬けの中、発作的に読みたくなる科学系読み物は、楽しい。面白い。そしてちょっと気持ちいい!生物は、概ね解明されていても、イレギュラーな部分とかあるし、公式やパターン通りじゃない行動なんかもあるわけです。予想がつかない、説明できない、それが研究者の興味を引くのですが、そういう面白さを楽しめる人が増えたらいいなぁと、こういう本を読む度しみじみ思うのでした。2015/12/27
クラミ♬
37
題名からして「ウミウシだらけ」かと思っていたらそうでもなかった。けど大学教授の先生からみた博物館や学会、実習の様子なども楽しめる、面白いエッセイです⭐︎家族が描いてくれたという丁寧なイラストも◎子供時代の水族館遠足で夢中になり迷子になるエピソード、さもありなん!2021/05/05
calaf
20
雑誌『科学』の連載及び特集から選び出したエッセイ集。海洋生物...あまりなじみがないし、それほど興味も持っていないのだけど...まぁ、いろいろな生物がいるという事を認識できるというのは分かる気がします。。。2015/08/25