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内容説明
重金属と人類とのつきあいは古くて新しい。IT産業にはレアメタルが欠かせず、私たちの体にも釘一本分の鉄が含まれている。一方で、調味料として鉛が利用されたローマ時代には中毒が多発し、水銀やカドミウムの汚染は今や全世界を覆っている。ビッグバンに始まる重金属の歴史、その特徴、利用法を解説。さらに、メリットとリスクを同時にもたらす重金属と人間の関係を水俣病などの事例に学び、つきあい方を再考する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
78
重金属が生物に含まれている経緯やなぜ中毒になるのか?人類と重金属との関わり、実際の事例などが事細かに書かれていてとてもよかった。2013/02/05
ネコタ
21
なんでもそうだけどいくら必要なものでも摂り過ぎたら毒になる。水銀・カドミウム・鉛・ヒ素といったものの具体的な紹介や公害事件についての解説が詳しい。参考文献がたくさん載っているので公害についての本も読んでみよう。レアメタルというのは存在比率も低いけど広く分布していて(固まっていなくて)抽出が難しい、ということも知った。2016/04/28
ykoji
6
読書をしていると無性に人に勧めたくなる本と遭遇してしまうことが往々にしてある。本書がこの筆頭。しかし、本書を勧める理由は読むと楽しい気分になるからではない。考えさせられるからだ。前半こそ重金属の魅力と人体と重金属の精緻な仕組みに驚き、楽しめる。だが、本書の重心は公害について記述された後半。各種重金属の汚染や公害の話に至るとなんとも暗澹たる気持ちにさせられる。これからのレアメタル需要などを鑑みるに、公害や汚染は遠い昔の話ではない。被害者の方々の日々は続いている。まだまだ終わってなどいないのだ。2012/10/23
Lin
5
重金属と人体や自然環境との関わりについて書かれた本。資源としての重金属と思って購入したが、内容はむしろ公害問題他の環境について紙面が多く割かれていた。大量消費社会において、重金属の利害としっかり向き合っていかなけれな行けないといことを思い知らされる良作でした。読むのには若干理系寄りの知識が必要と思われます。2013/03/03
5
重金属という視点で切り取った世界のスライス。中公新書らしい読み応えのある良著。2013/03/02