ちくま文庫<br> 聖女伝説

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紙書籍版価格 ¥946
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ちくま文庫
聖女伝説

  • 著者名:多和田葉子【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2016/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480433442

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内容説明

「でもわたしは美しい死体にはなりたくない」──“美しき死”へ少女たちを塗りこめ、観賞用の素材に変えようとするこの世界のあまたの罠から逃れるために、窓の外へと飛びだした“わたし”の行く末はいかに──。ことばの力で生きのびていく少女たちのためのもうひとつの“聖書”。著者の代表作にして性と生と聖をめぐる少女小説の傑作が、あらたに書き下ろされた外伝「声のおとずれ」を伴って、いま蘇る!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

309
この小説の中を流れる時間、そしてリアリティのあり方は、本質的に他の通常の小説とは違っている。しいて先例を求めるとすれば、安部公房のそれが最も近いだろうか。小説は一貫して語り手である「わたし」の極めて主観的な一人称語りであり、それはもう妄想と呼ぶこともできるような性質のものだ。そして、そんな「わたし」の時間と空間に闖入し、揺るがすものたち。例えば鶯谷の存在がそれであり、また唐突に口を衝いて飛び出してくる聖書の言葉だ。それもなんだか怪しげな。また繰り返されるトロンボーンのソの音も終末を伝えるかの如きである。⇒2016/11/26

ちなぽむ@ゆるりと復活

146
わたしの口から飛び出した大切なコッペパン、あなたの為なんかじゃないのよ殺してしまいたい。腹のなかで第三者が繁殖する。流れでる眼球どうしようもなく女になるということ。きたないきたない。ふくらむ胸切り落としたい?ちがうそうじゃない。‹でも、聖者は同性の聖者しか愛さないことに変わりはないんですね。›精霊がわたしの口を使うの切り裂いて世界。耳を出して沼は血のいろ踊るアメーバ、分裂して。聖人なんて産みたくない。‹それじゃ、また、ごきげんよう›わたしは落下傘ですさようなら。美しい死体になんかなりたくないのです。制止。2020/05/10

KAZOO

131
わたしは多和田さんの本はまだ数えるくらいしか読んでいません。しかも随筆中心なので文芸作品は「ボルドーの義兄」という実験小説のような感じのものだけです。これも読んでみてそのような印象を受けました。あまり難しい言葉などは出てこないのですが、読んでいて何かしらな今に読み終わったなあという感じでした。もう少し他の本も読んでみて再度読み直そうかという気になりました。2016/04/18

みあ

110
性と生と聖が混じり合う不思議な物語。凄い小説と出会ってしまった。聖人になりたいという少女が大人の女の肉体を手に入れる過程の物語だと思う。多和田葉子の摩訶不思議な世界観が炸裂している。主人公は少女の頃は聖書の言葉を引用することで邪悪な世界から自分を守る。その世界の象徴が鶯谷である。しかしその世界から逃れることは出来ない。聖人にはなれないから。少女が大人になる過程の違和感を言葉で表現するには意味のない言葉を用いるしかない。多和田さんはそのことに見事に成功し、そして主人公は世界と和解したのだ。2019/12/19

take0

28
よく分からなかった、とも思う。大筋としては少女の9歳から高校3年までが語られているが、内容としては語り手の妄想とも迷妄ともとれるようなエピソードが綴られていて、或いは少女の心象のドラマなのかとも思う。意味不明で不条理な登場人物、頻繁に引用される聖書からの言葉、強調される血のイメージや身体的メタモルフォーゼに纏わる描写の多出、少女に纏わりつく不安感、不穏感。最後の最後まで明確な読みを逃れるかのようで、それらは総体としてではなく、ただ部分の連なりとして収まり悪く受け取るしかないものなのかも知れない。2019/03/14

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