内容説明
書籍未収録の六篇を収めたファン必読の一冊
夫に先立たれた女の胸に去来する、若き日に泣く泣く別れた男の面影(表題作)。凶作続きで餓死者も出ている甲州の村。百姓代の決断は(「犬目の兵助」)。異国船の来襲に、愛するものを残し長崎警護へと向かう下級武士の悲話(「捨足軽」)。晩年の五篇と幻の直木賞受賞第一作。解説・鈴木文彦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
108
タイトル作のこういう女が好きだ。こういう女になりたいが、こういう女は理解してもらい難い・・北原亜以子、巧いなぁ。もっと、もっと新作を読みたかったよ。『入院中も江戸の街を歩いていた』にはちょっと泣けた。頑張ったんですね・・本当に頑張って下さったのですね。「ありがとうございました。」何度も読み返したい作品ばかりです。惜しい人が先に逝くなぁ・・2016/10/12
初美マリン
104
いくつかの散らばっていた作品集、タイプは、違うが、それぞれふと、ひっかかるものが全体に存在する2019/06/12
じいじ
82
思っていたとおり、どれも女の情緒が漂う味のある短篇集でした。手元において、少しずつ読み返したい一冊です。【表題作】は、大店に嫁いで、37歳にして夫に先立たれた女房・おこうのお話。夫の四十九日も無事終えて、悲しみや心細さも薄らいて、ほっとするする彼女に仄かな色香が感じられます。七代も続いた店の暖簾は…? 親のすすめる再婚ばなしは…、俄かに甦って来る、彼女がむかし心に決めた男のことが…。狭間で揺れ動く女の心の裡を、著者は書き上げています。2022/11/15
KEI
33
表題作を含む6編の短編。淡々とした市井の人々を描く秀作。表題作は7代も続いた暖簾を守る為に泣く泣く許嫁を諦めさせられ、亡姉の婿の後添いとされたおこうが夫を亡くした時の心の揺れが描かれている。姉の代わりに育て上げた清太郎が最後におこうを慰める場面にしみじみする。「捨て足軽」幕末の鍋島藩の捨て扶持では下級武士が暮らしてゆけぬのに、長崎に来襲した異国船を撃沈する為に胴に火薬を詰めた筒を巻きいわば特攻として愛する者を残していかねばならない想い、無事に戻れた喜びを描いてあり印象的だった。2022/11/26
ドナルド@灯れ松明の火
31
北原さん、オール読物掲載後未刊行作品を集めたもの。市井職人ものの他に長崎の町年寄や佐賀藩の長崎警護が描かれ目新しかった。巻末にオール読物に掲載されたインタビューで入院中の状況「入院中も江戸の街を歩いていた」が転載されている。2016/09/06
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