内容説明
文壇事情に精通し、匿名批評も多くし、四十九歳で世を去った昭和の文芸批評家、十返肇。軽評論家と称され、正当な評価を受けていたとは言いがたい彼はしかし、文学への深い愛と理解力、該博な知識をもって、昭和という激動の時代の文学の現場に、生き証人として立ち会い続けた希有なる評論家であった。今なお先駆的かつ本質的な、知られざる豊饒の文芸批評群。
目次
贋の季節──戦後文学の環境──(抄)
文芸雑誌論
「文壇」の崩壊
文学界人物史
ピンからキリまで
詩のない生活から
解説 坪内祐三
年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寺(いつも上品でごめんね)
72
坂口安吾批判が読みたくて手に取る。安吾だけではなく、織田作之助と田村泰次郎も批判しているのだが、織田や田村は著者の友人でもある。仲間褒めをしていないのが上等である。十返肇は安吾とはほぼほぼ面識が無い。戦争に行った十返と行かなかった安吾。私は安吾が好きだが、その事に対しての私憤を隠そうとしないのも正直で良いと思う。一方、酒席で胸ぐらを掴まれた梅崎春生の事は一貫して褒めており、私憤など度外視している点もある。昭和の作家達のリアルタイムのスタンスをきちんと伝えているのが良い。生きた昭和文学史である。2019/12/13
T. Tokunaga
1
文芸評論というのが好きになれないわたしは、吉田健一ばかり読むことになるのだけれど、そんなわたしでも、一応気分を害したり、または熱に当てられたりしないで読めた、「読める本」である。雑誌に連載があったら楽しみに読むたぐいのものだ。2023/07/07
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