内容説明
16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
207
何が言いたいのかわからず、主人公リンデが嫌な人で共感持てず。もしかしたら自分に似てるのかも、と思ったら解説にもそのような感想を持つ人が多かったとの事。リンデの各年代のエピソードだがどの年代のリンデも不快で嫌な人。タイトルに惹かれて読んだが自分に似てるのなら余計、これは人から好かれないし自分も好きになれず、参考にならない。もっと気分のいい話が読みたい。「「優しくした相手に、なんでもっと親切にしないんだって怒鳴られてるようにしか聞こえない」」「誰かに今度こそと余計な期待を抱くのはもううんざりだと思いながら。」2019/03/16
馨
117
不思議な小説。リンデという女性の子供時代から63歳までをあっという間に進むのに、それまでにどんな人生を送ってきたかがよくわかります。最初から最後までリンデの性格が嫌で、こんな女性とは友達にはなれないなと感じました。しかし自分にもこんな部分があるなとも感じました。2018/12/25
hit4papa
105
16歳から63歳まで、一人の女性のひと時を切り取った連作短編集(途中、3歳に戻る)。友人や恋人など、他人に合わせる生き方から決別する瞬間が描かれています。タイトルは、同調しないことで自分らしさを発見する、という意味でしょうか。どこにでもあるシーンで、多くは同調に自分を押し殺してしまいますが、後悔を伴いながらも殻を破ることで、違う世界が拓けるという視点に共感します。なかでも28歳の旅先でのプロポーズ前夜、カレシとの間に発生した軋轢は、男性読書からすると耳が痛いですね。自分探しの女性一代記とも言えます。2023/03/30
ゴンゾウ@新潮部
104
本谷さんの作品は6作品目だが既読の作品と異なる印象だ。エネルギッシュなこれまでの作品とは異なり全編通して静謐感に包まれている。リンデという女性の生涯の節目となった1日の出来事を描いている。友人、パートナー等の大切な人とどのように接するか。リンデの心の中がピュアに語られている。歳を重ねごとに相手に求めるものが変化していく。最後は自分ひとりなのが妙にリアルで生々しい。2018/05/14
抹茶モナカ
97
16歳、28歳、34歳、3歳、63歳のリンデという女性主人公の1日をそれぞれ切り取って描かれる長編小説。心から一緒にいたい相手を探す姿が、切なくて、孤独について考えさせられた。男性の42歳独身の僕は、読んでいて、身につまされて、年老いるのが怖くなった。アマゾンのへヴィーユーザーの僕の家にも宅急便が来て、ヤマト運輸の運転手の笑顔に癒される日があるのだ。2016/08/10