内容説明
2012年末に第二次安倍政権が誕生してから早や3年。その間、大きく変わったことが権力とメディアの関係だ。朝日新聞に代表される政権に批判的な大手メディアはなぜ軒並み“大人しく”なったのか。その背景には安倍政権の巧みなメディアコントロールと、ネットによる大転換期に対応できず組織防衛に走る既存メディアの腰砕けぶりがあった――。前ニューヨーク・タイムズ東京支局長の著者が明らかにする「世界から見たアベ・ジャパン」の真実。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こも 旧柏バカ一代
26
ニューヨークタイムズ日本支局の記者の著者から見た日本メディアの凋落が書いてあった。 世界は、政権がジャーナリズムに圧力をかけ、メディア・コントロールしようとするのは当たり前の世の中になって来ている。 メディアは「そんなことは想定の範囲内だ」と構え、横の連帯を組んで政権からの圧力に対抗しなければならない。 しかし、日本のメディアは各社脚を引っ張り合い圧力にひれ伏してる状態。 それが報道の自由(矜恃)度ランキング11位(2010年)から72位(2017年)に現れている。 ちなみに2019年は67位。2020/01/19
ほじゅどー
19
★★★★国内では記者クラブの質問は予定調和の想定問答なので、安倍首相はロイターの想定外の質問にまともに応えられなかった。第二次安倍政権のメディア戦略は露骨な圧力。自民党からの文書による要求。放送法第4条4号を盾にした圧力。夜の会食を繰り返す安倍総理とメディア幹部。ネット右翼を利用する安倍政権。1984年とボーン・アルティメイタムの監視社会。良い仕事をしている清水潔、神保哲生。大手紙よりも地方紙の方が権力に懐柔されにくい。神奈川新聞「時代の正体」、琉球新報と沖縄タイムス。2016/09/21
masabi
18
国内外のメディアで働いてきたジャーナリストが日本のマスメディアの現状を憂う書。ジャーナリズムは権力者が隠したい情報を暴くことが仕事だが、今では権力批判に及び腰になっている。安倍政権のメディア・コントロールが巧みになっていることとともに、メディア同士が攻撃し合うことで権力者に都合のいいばかりか新聞全体の不信を招いている。圧力に対抗するには思想の左右を超えてメディアの連帯が不可欠だが、それも叶わない。今以上の圧力を掛けられたときにメディア全体が瓦解する危険性が潜んでいる。2016/07/14
カープ坊や
13
安倍政権のメディアコントロールに完璧に牛耳られた日本の大手マスコミ。 記者クラブ会員と政府による仲良しクラブが如き台本のある記者会見による政府広報的報道だけではなく 台本のない会見を期待したい。 移民と難民の区別もつかない首相や漢字の読めない副首相達にも つっこんだ質問をして官僚の書いた文章を読むだけの会見ではなく 首相たちの本音を引き出してもらいたいものです。 「がんばれ!日本のマスメディア!」2016/04/14
猫背
10
言論の自由を守るのに右も左もない、というのはまさにその通り。国家権力からの弾圧は、明日は我が身と思ってメディアが連携するのが理想的だし、実際本当に明日は我が身なのでは?政府によるメディアコントロール自体は、往々にしてあることらしい。正直政府の意見をそのまま流すメディアなら1つで足りるから、競争していくとしたらそれを検証するメディアが必要になると思う。早稲田ジャーナリズム研究所を応援したいと思った。2017/05/17
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