内容説明
米国の忠実な同盟国だった韓国、同じ資本主義陣営の仲間とばかり思いこんでいた韓国が既に中国に取り込まれている。そう言うと、中国大陸の状況に詳しくない多くの日本人は驚かれるかもしれません。
ただ、これは現在進行形で起きている現実、東アジアの新しい秩序です。
韓国は軍事機密の円滑な交換を約束する軍事協定を日本と結ぶはずでしたが、中国の恫喝によって署名の当日に拒否しました。しかも、日本との協定は反故にしたのに、中国に対して軍事協定を申し入れました。
結べば米国が韓国に与えた機密情報が中国に筒抜けになってしまいます。
韓国は金融の命綱も中国に託しました。いざという時のために、韓国は日本や中国とスワップ協定を結んでいましたが、人民元の国際化に対する協力と引き替えに、中国との通貨スワップを延長してもらうことを決めました。ドル体制を揺さぶる中国。
そのお先棒を同盟国の韓国が担ぐとは、米国の心中も穏やかではないでしょう。
この変化を最初に描いたジャーナリストが、日本経済新聞社・編集委員の鈴置高史氏でした。韓国の中国接近で東アジアの力関係が揺らぎ始めています。
激変する北東アジアで日本は何を考えるべきか。それを知るのに最適な一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
26
韓国が反日を続ける理由が、本当のよく理解できました。韓国は、中国にもアメリカにもいい顔をしておきたい。中国が恫喝してきたら素直に言うことを聞くけど、アメリカが来た場合は、日本が竹島や慰安婦のことで問題を起こすから、言うことを聞きたくても聞けません、という対応で乗り切るためだそうです。どちらも手玉にとって乗り切ろうとしているようですが、最近はどうもうまく行ってないようですね。でも、もう日本は助けないので、自力で頑張ってほしいと思います。2017/02/17
西澤 隆
3
いくら恨(ハン)の文化とはいえ好き嫌いや感情論だけでみんながあんな具合に考えるのはやっぱり理解しにくい。それだけになぜ韓国がこう振る舞うのかを韓国だけではなく東アジア全体の経済的・軍事的なパワーバランスから俯瞰する本書の結論「世界政治は再び地政学に左右される時代になった」は説得力があった。西洋的資本主義とはちがう論理で動く超大国と陸続きであるということの圧力の大きさがもたらすものの大きさ。各国の関係性で語ればちがう答えが見えてくるという提案。池上彰ほかとの対談も秀逸。いわゆる「嫌韓書」とは一線を画す一冊。2013/09/18
Uzundk
2
冷戦が終わって地政学で語られる力学に乗っ取った外交戦争がすでに始まっているという話。大変興味深かったし、中国には逆らえない韓国の視点も初めて気が付いた。生き残るために「時代精神」にのるという韓国の特性は、形は違えど空気感を認める日本とも似ていると理解した。確かに勢いがあるのは間違いなく中国だろう。韓国と中国の強硬な反日そのものに捕らわれてはいけない。合理性だけでは分からない統治故の落とし処を探った結果の反日だと理解しなければ、グレートゲームの駒になることを良く理解しなければならない2014/09/07
ソルト佐藤
2
連載中から興味深く読んでいた。マスコミも、そろそろ本当の韓国を報道するようになってきたのかもしれない。とネトウヨ的に云ってみる(笑 だが、この本は、そんな煽り的な本ではなく冷静なのは、反日、離米の下に隠された「恐中」「卑中」の精神を看破する部分。イデオロギーの時代から、再び地政学の時代へ。作者の視線は鋭い。ただ、北朝鮮をてなづけれなかった中国もあり、現実は作者の想定よりも複雑になってくる。その中で、半妖怪「ネズミ男」はどのような行動をとるのか。我々日本への匕首ともなりえるだけに、気をつけなければならない。2013/03/03
一龍
2
多くの日本人が韓国の立ち位置を見誤っている。韓国は強い反日感情を持ってはいるが、アメリカと同盟を結んでいる以上、日本とは軍事的には準同盟国であり、米中間、もしくは米北朝鮮間で戦争が起こればアメリカ側に立つと多くの日本人は思っているだろう。しかし、長い歴史の中で地政学的に常に中国の歴代王朝に押さえつけられてきた韓国は、中国の台頭とともに冊封体制に戻ることになるだろう。 激変する東アジア情勢と今後の日本の進路を検証する本書は、日本のアジア外交の今後に一石を投じるものである。 韓流ドラマやアイドルに浮かれるのは2013/03/02