内容説明
1998年。史上最もCDが売れた年。宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみがデビューした年。偉大な才能がそろって出現した奇跡の年と、四人それぞれの歩みや関係性を、「革新・逆襲・天才・孤独」をキーワードに読み解く。はたして彼女たちは何を願い、歌い続けてきたのか? なぜ今もなお特別な存在であり続けているのか? 苦境の音楽シーンに奮起を促す、注目の音楽ジャーナリスト、渾身のデビュー作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
104
{2016年} キーワードは、宇多田ヒカル「革新」・椎名林檎「逆襲」・aiko「天才」・浜崎あゆみ「孤独」。1998年は史上最もCDが売れた年。日本におけるCDの総生産枚数(4億5717万枚)、総売り上げ金額(5878億円)。この16年でCDマーケットの規模は約3分の1になった。アイドル以外のCDシングルのマーケティングは事実上ほぼ消滅しかけており、音楽業界はその主な収入源を音源の販売から、ライブとアーティスト・グッズの物販へと大きくシフトさせてきた。感情移入できる詞がホントに少なくなった、と感じる。2017/02/13
あちゃくん
42
宇多田ヒカル、林檎、aiko、浜崎あゆみと1998年にデビューした女性ソロアーチストを通して、音楽シーンの変遷を追った本です。彼女達がお互いに高め合ってきたという著者の見立てが面白いです。ただaikoの章でユーミンの雑誌記事や菊地成孔のラジオからの引用を持ってaikoの音楽性に言及しつつ筆者自身が語っているように、音楽について自分の言葉を持って語れる書き手が少ない現状は残念に思います。テレビで言えば昔のフジの「音楽美学」やNHKの「亀田音楽専門学校」のような音楽そのものを語るものがもっとあっていいよな。2016/02/10
ウィック&ぺディ
38
★★★半☆ エヴァンゲリオンの新劇場版を通して実感したのは、2007年から約14年を経たにもかかわらず宇多田ヒカルでシリーズのエンディング曲を通したという凄さ。人間活動という休止期間はあったものの、その才能と人気は衰えないばかりか増すばかりだ。そんな宇多田さんの衝撃のデビューが1998年。その彼女と同時に椎名林檎とaiko、浜崎あゆみが世に出た、まさに奇跡の年でもある。CDの売り上げがピークに達していた絶頂の時代、そんな彼女たちの足跡を元ロッキング・オン・ジャパンの編集者が評論した一冊。2021/03/31
リキヨシオ
37
宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみ、鈴木あみ、モーニング娘、MISIA、kiroroがデビューした1998年は最もCDが売れた年で日本人が人類史上最も多くのCDを購入したという奇跡の年である。逆に言えばこの年以降のCDセールスは減少に転じて「CDは半永久的に劣化しないメディアである」「CDのデジタル音源は最も優れた音源である」といったCD神話の崩壊。音楽ではなく付加価値を売るという延命処置になっている。自分が人生で初めて購入したCDは浜崎あゆみのファーストアルバム…当時を思い出しながら読んだ。2016/02/26
のぶのぶ
31
1998年、確かにこの前後、よくCDを購入していた。洋楽好きだった自分がこの近辺からJPOPのアルバムも聞くようになった。宇多田ヒカルさんが出てきたときは衝撃的でシングルが出るたびに購入し繰返し聴いていた。aikoさんも椎名林檎さんも。CD事情やデビューまでの様子、3人の関わりなど聞いていくと面白い!!東京五輪、アイドルでなくレベルの高いアーティストの共演で花を添えたらいいなあ♪宇多田ヒカルさん、コーラスも自分の声だから、いいのだろう。海外進出の違和感の理由が分かり興味深かった。四人の曲を聞き直そう♪2016/02/27