内容説明
ダイヤモンドでの出来事に写しとられた、様々な喜びと悲しみ――。古ぼけたファーストミットに死んだ兄の青春を辿る少年、ホームプレートに戦災で失くした家と家族への思いを重ねる老審判など、生涯の四季それぞれを迎えた人々の姿を描く表題作ほか、「一球譚」「夏の日の巡礼」の全3編を収録。一投一打に宿った記憶が、いつしかそれぞれの人生への優しいオマージュを語り始める。直木賞作家による珠玉の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YO)))
14
戦後の九州にあったノンプロの炭鉱リーグの話しなどロマンあると思った。 引退試合で二塁打を打てばサイクルヒットの場面で、何を思ったか三塁に突入しようとする元同僚を見守る三塁コーチャーの話しも涙腺に来るものがある。2023/02/26
たーくん
6
再読。 ダイヤモンドでの出来事に写しとられた、様々な喜びと悲しみ――。古ぼけたファーストミットに死んだ兄の青春を辿る少年、ホームプレートに戦災で失くした家と家族への思いを重ねる老審判など、生涯の四季それぞれを迎えた人々の姿を描く表題作ほか、「一球譚」「夏の日の巡礼」の全3編を収録。一投一打に宿った記憶が、いつしかそれぞれの人生への優しいオマージュを語り始める。直木賞作家による珠玉の作品集。 2017/09/11
hirayama46
4
はじめての赤瀬川隼。教科書にも載っていた「一塁手の生還」も収録されている短編集。『吾輩は猫である』パロディの野球小説である「一球譚」は軽めの話ながらも反戦メッセージも込められていて印象的。全体的には人情譚という雰囲気が濃いですね。井上ひさしの解説にあった「すべてがホームへの帰還を主題にしている」というのが大変腑に落ちました。とどのつまり野球の目的は一周して戻って来ることにあるのですね。2025/01/24
山田
4
オレは個人的にこの赤瀬川隼っちゅ〜作家には一生頭あがんねえとおもっとる。内容は野球関連の短編集なんだけど全部いい!中でも「一塁手の生還」は最高にいい!基本、抜粋は嫌いなんやけど少しだけ🤏主人公と戦地から生還した和典兄さんのキャッチボールの場面から「カズノリ兄のボールが僕の胸めがけて素晴らしいコントロールでピシャリとくる」もうこの文章だけでツマミなしで焼酎5、6杯はいけるねwもう1つだけ本書の魅力をあげると、赤瀬川氏の人間を観る観察眼がハンパやないねw野球に興味のない人にも自信を持って勧められる1冊📖2024/04/27
あらあらら
2
一塁、2塁、3塁、本塁にまつわる戦前の野球にまつわるエピソード。ほかの2編も野球を知らない人でも読める内容ではないだろうか2023/12/26