内容説明
実業家・真田佐平、俗物教授・久我象吉とその家族たちを中心に、現代人のさまざまな生活や偽装、金銭、名誉、地位、セックスへの欲望といったものを大胆に描いてゆく。人間の真実の姿をどこまでも追究して一切の虚飾をはぎとり、内面に隠された心理をあばくことで、エゴイズムの醜さ、いやらしさを徹底的なまでにえぐり出して、心理的リアリズムの極致を現出せしめた大作である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mim42
3
15年ぶりぐらいに再読。2年近くに及ぶ雑誌連載ということでやや緩慢だが要所では読ませる。昭和の研究者たちの冴えない生き様が、120%詳らかな心理描写で語られる。特に性に関する価値感や性と社会的役割の固定は、資料的価値すらある。銀座、クラブ、待合、喫茶、ダンス会、等の社会背景の描写も然り。結局、三人の主要な男性登場人物を構成する精神は同じ穴の澱だった。初めて読んだ時よりも、貧弱な精神に狼狽する。経済面以外でまだ日本が国際的な競争に巻き込まれていない無邪気な時代、そこに行ってみたいか?という問いの答えは…2021/03/26
げんがっきそ
3
他人のエゴと自分のエゴ、それはもちろん同質の物のはずだ。それは当然のように思える。しかし、人間はそう理屈通りにいかないのだと、この作品で気づかされた。私は、エゴを相手に向ける描写にそれほど抵抗はないのに、エゴを相手から向けられる描写になると不愉快だった。つまり、エゴの被害者になるのは非常に嫌だけれど、加害者としての自分はおおめにみて許容しようとする心の動きを感じたのだ。この作品を読んだだけで。エゴをテーマにしたこの作品を読むだけで、自身のエゴの動きが浮き彫りになるのである。これはすごい作品だと思った。2018/04/01
Echo
2
人々が自分の欲しがっているものを必死に追い、どんな代価を払っても、どんな手段を使っても、それを手に入れようとする。果たしてそれを手に入れたら、人間は満足できるのか?それを手に入れた瞬間、それが自分の想像とは全く違うものであると知り、一種の幻滅を覚えるかもしれない。そして、新たな欲望が出てくるなのだ。2019/01/19
JS
1
「氾濫」のタイトルどおり、気づいたら大きな間違いがせき止めるすべも無く家庭内に広がっていた、という救われない話。種村という若い学者の自意識過剰感が強烈。2015/08/06
koishikawa85
1
面白かった。まず主人公が接着剤メーカーの役員という設定が面白く、その仕事についてもかなり細かく書かれている。登場人物のエゴが詳細に語られていく。2015/05/03
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