内容説明
軽妙洒脱なエッセイストとして名高い林望氏が、書誌学の一貧書生だった頃。ただ志のみを頼りに、書物の藪、学問修行の藪を、いかにして掻き分け進んだか。碩学の恩師との胸にしみる逸話、愛してやまぬ古書・稀覯本たちとの「書縁」ともいうべき邂逅、学問の階段を昇る途上の愉しみ、苦しみ――。切々と、飄々と、“本業”への思いをここに纏めた随筆集。親切な、ひとくち語釈付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やまゆ
12
リンボウ先生って書誌学をされていた人だったんですね。てっきりイギリス文学者かと思ってました。恥…。2017/04/05
isao_key
9
リンボウ先生の恩師の先生方との思い出、書誌、古書文献、就職をめぐる話をまとめたエッセイ。本書を読むまで著者のことをずっとエッセイストだと誤解していたが、専門は書誌学、国文学だった。文章がとても滑らかで現代ではほとんど使わないような含蓄あることばが散りばめられている。「幽明境を異にしてから」「坊間に流出」「深謝の微喪を表す」「贅言を弄する」「径庭のない了簡」等。現代の若者は本を読まなくなり、活字離れが著しいと嘆く人がいるが、本当は、昔の若者が読んだ本を読まなくなったと言い換えるべきだと。ごもっとも。2014/07/18
ひよピパパ
8
「リンボウ先生」こと林望先生が書誌学の深奥と、碩学の恩師との貴重な思い出を語り尽くす充実の一書。慶應義塾というと創立者である福沢諭吉の提唱した「実学」志向かと今まで思っていたが、「虚学」の最たる学問領域ともいうべき書誌学研究の伝統があったとは恥ずかしながら知らなかった。「ミクロな観察とマクロな展望」を要する書誌学の魅力と、そこにかける先生の熱い思いは感動的。また、一般には知られることのない、大学人事の実情が自身の経験とともに赤裸々(誇張ではない)に述べられていてとても興味深かった。2019/10/01
nagatori(ちゅり)。
7
ここまで実名で出しちゃっていいのかなあ(^^;と思ったりもしましたが、リンボウさんの淡々とした文体に嫌味はなく(むしろ敬愛の情がそこここに感じられて)読後感はさっぱりとしたものでした。最後の章「書誌学の未来」は、かつて芸術学という、書誌学とどっこいどっこいの「つぶしの利かない学問」を学んでいた身としては非常に身につまされる話でした…書誌学も少しく齧っていたので、そちらの方面のネタも懐かしく楽しく読みました。薄い本だけど、中身は思いっきり濃ゆいです。まさしく書物の藪。密林です。2014/04/07
村上直樹
2
タイトルだけ見ると(帯もだ……)ビブリオマニアのオナニーみたいな感じだが、そういう話では全然ない。大学教員の就職事情等、人間関係のドロドロした話もある。読むと重たい気分になるが不快ではない。2011/12/11
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