内容説明
型破りの文体と特異な美意識で、何人も触れなかった人間の愚かさ弱さだらしなさの底の底を、哀しくユーモラスに綴る“現代性風俗誌”。子供ほしさのノイローゼ妻の執拗な妊娠作戦に翻弄され、“種つけ馬”の心境にうちひしがれる男の滑稽さを描く『受胎旅行』、1本5円の“御開帳”のマッチに24歳の生命を焼きつくした女の悽惨、哀切きわまりない物語『マッチ売りの少女』ほか8編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
28
☆☆☆☆ 焼跡派野坂の本領発揮の名短篇集。戦争の悲惨さに娼婦の悲哀も重なる「マッチ売りの少女」「娼婦焼身」が強い印象を残す。これと好対照に性をユーモラスに描く「スケコマシ同盟」「猥談指南」は面白い。性の歪さを描く「パパが、また呼ぶ」「浣腸とマリア」「タラチネの巣」は上手い。子供の残酷さが恐ろしい「子供は神の子」。2022/05/16
三柴ゆよし
3
「受胎旅行」、「マッチ売りの少女」、「スケコマシ同盟」、「猥談指南」、「子供は神の子」など佳作揃い。種つけ馬の夫の悲哀、1本5円の御開帳、週刊誌のピンク記事に胸ときめかせる中年男、猥談売って口を糊する、これもやはり中年の滑稽と矜持。性と生の哀しさ、アホらしさを、かつてこれほどまで凄絶に描ききった作家が、日本にいただろうか。俗悪極まって真理となる。野坂昭如のおもしろさがギュッとつまった作品集。さすが。2010/09/29
渡邊利道
2
妊娠を渇望するノイローゼの妻との子づくり旅行を描いた表題作、マッチでご開帳するえげつない街娼の人生を描いた傑作「マッチ売りの少女」など短い小説全十編。性と笑いとセンチメンタル。2016/07/13
きゅうり
2
ほたるの墓の著者だったと読後知ったが、あの話もジブリの中では存外えげつない生に対する描写、生と性テーマにするのこの短編集のヒヤリと真に迫るふとした描写の鮮やかさ通ずるものありと妙に納得し、その根底に流るるこの世に生きることへの無常観、しかし一方で弱いもの、愛されぬもの、捨て置かれるものへの慈愛そこはかとなく感じられ、私は今生きていて良かったと無性に何かに感謝したくなるのであった。という気分。2011/12/07
つちのこ
1
新潮文庫版1974年5刷。同年読了
-
- 電子書籍
- アジャイルデータモデリング 組織にデー…
-
- 電子書籍
- 40代からのガチンコ性白書(分冊版) …
-
- 電子書籍
- 筋肉のしくみ図鑑
-
- 電子書籍
- なんと孫六(77)
-
- 電子書籍
- 「彼」first love(2) フラ…