内容説明
明治33年、15歳の菊地加根は九州から東京の森の学園・日本女学院に入学した。恋愛、友情、嫉妬……、「新しい女性」の理想を掲げた自由な校風の下、加根を取りまく女学生たちの青春の姿が細やかに描かれ、明治の群像が瑞々しく蘇る。女性たちの自立への物語であると同時に、幕末から明治30年代に至る文化史でもある豊潤なロマネスク小説。近代日本の百年を生きた著者の最後の大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
24
著者の遺作であり日本文学大賞受賞作。まだ江戸近郊には鬱蒼と茂る森があり、その側にある女学校が舞台。大きな異変はなく静かな物語である。自分には何も響いてこなかったが、いつか著者の「秀吉と利休」は読んでみたい。2017/04/15
Kotaro Nagai
6
本書は1985年99歳で亡くなった著者の遺作として刊行。昭和47年に執筆を開始、亡くなる昭和60年まで続けたが未完に終わった作品。物語は明治33年15歳のヒロイン菊地加根が東京の日本女学院に入学するところから始まる。ヒロインは著者の分身、日本女学院は実際の明治女学校にあたる。歴史上の文学者・文化人が登場し、明治30年代の東京で人々と触れ合っていく自伝的な作品かと思われた。ところが途中からヒロインが園田はるみに代わってしまう。はるみの劇的な描写も惹きつけられるが遺作となり全体にまとまりに欠けるのが惜しい。2023/08/02
sabosashi
5
遥かな昔から書き起こしてトウキョウを、ニホンを語る。 もし字義通りに受け取れば、トウキョウの郊外に森が溢れていた頃。 そこからもし飛躍を許されるならば、トウキョウがニホンの人質になっていた時代のことか。 明治百五十年といわれる昨今、あらためて読み取ってみるべき意味が込められている。 2018/03/13
椿子
3
フローラ森の香り、と題された入浴剤の香りがしてきそうな小説。正直もっと、寄宿舎の女生徒の描写が多いのかと思っていたので、少し残念だった気がしないでもなかったけれど、物語としては段々登場人物に慣れてくるにつれて面白くなった。特にやはり近眼眼鏡をかけた美しくないけれど愛嬌のある加根さんが凄く好き。可愛い。クリスマスのプレゼントに色々なものを買うときのかわいさったら!未完なのが残念。岡野校長にはちょっと幻滅しました……。2009/12/31
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0
87歳から99歳でなくなるまで書き続けられた作品、あと10数ページも書けば完成だったともいわれる。 実に、乙女チックな作品だった。自分の青春時代を忘れていなかったのか、年齢の成果、昔のことほどよく思い出せたのか、登場人物たちがイキイキとしていた。恋の話もあり、女性だからという理由で生きにくかった時代をただ暗いだけでなく、いかに生きてきたかを語っていた。2016/02/29




