新潮文庫<br> 木馬の騎手

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新潮文庫
木馬の騎手

  • 著者名:三浦哲郎【著】
  • 価格 ¥385(本体¥350)
  • 新潮社(2016/06発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 90pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101135069

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内容説明

出稼ぎに出たきり戻らぬ父を尋ねて、ひとり東京に着いたキワ、自分は電気仕掛けで動くのだと頑なに信じる少年・作次、晴れ着を着て父親とメリー・ゴー・ラウンドに乗るチサ――。危ういバランスをとりつつ、生と死の深淵を覗き見る子供たち。この、人生の小さな冒険家たちの、様々な死とのたわむれを、清冽な抒情と澄んだユーモアを重ね合せて描く「接吻」「睡蓮」「厄落し」「星夜」「初秋」「ロボット」「遠出」「遊び」「出刃」など12編。著者会心の連作短編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shizuka

53
落とし穴にストンと落とされるような、うすら恐ろしくもの悲しい話が多かった。子供の無邪気さが不幸を招く。けれど子供は遊びの延長なのでその重大さに気づいていない。『人釣り』という一編。人間の好奇心と浅ましさを餌に「人」を「釣る」。釣られた老婆とその背中の赤ん坊。おそらく結末は…。最後まで書ききらない。読み手の想像力に深く食い込み、その残像を強烈に与える。引き際が見事で、魔力に取りつかれたように読んでしまう。いずれの話も概ねミゼラブル。しかしそんな中での『メリー・ゴー・ラウンド』。明るい光で包まれた救いの一話。2017/03/18

ばりぼー

38
およそ30年前の初読以来、何度も読み返している作品。三浦さんの小説は精緻な「描写」で語られ、陳腐な「説明」がありません。読み手のイメージを上手にふくらませてくれるので、本当に短編の名手だなぁと感心します。どれも子供達の視点で、死との危ういバランスの語られる逸品揃いですが、なかでも、脳卒中で倒れた爺様を町の医者に診せるために馬車に乗せて運ぶ「星夜」、自分が電気で動いていると信じ込んだ少年の悲劇を描く「ロボット」、病気がちの父親が真意を隠して娘を遊園地に連れて行く「メリー・ゴー・ラウンド」に拍手です。2016/06/14

テツ

28
「七歳までは神の内」の言葉が示すように幼い頃は現世と隠世の間に隔たりはなく、特に昔は簡単に向こう側に去っていったんだろう。著者の三浦哲郎が様々な形で兄弟を失った想いが凝縮したかのように描かれる幼き存在とそれを包み込む死。無駄な装飾もなく語られるそれらは悲しく美しい。こどもって色々な意味で危うい存在なんだよなと思い出させてくれる物語。2018/03/18

桜もち 太郎

9
凄い!すごい短編集、さすが短編の名手三浦哲郎。幼い子供の目線で書かれた物語、体の芯からゾクゾクするような感覚がする。「メリーゴーランド」が素晴らしかった。幼い頃からの作者の心に蓄積されたものが、あふれ出てきたような作品集だった。2014/06/22

sashawakakasu

7
子供や田舎の残酷さや美しさを存分に味わえ、おもしろい小説たちでした。クライマックスで、えっ!となったり、ほろりと泣けたりして、比較的短い短編でここまで面白くできるかと驚き、三浦哲郎を読破したいと思った。2021/05/16

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