内容説明
人類史上最も人の寿命が長くなった今、医師やまわりの人は死にゆく人に何ができるか?北米でベストセラーとなった迫真の人間ドラマ。人類史上もっとも人の寿命が長くなった今、医師やまわりの人は死にゆく人に何ができるのだろうか? 全米で75万部のベストセラーとなった迫真の人間ドラマ。現役外科医にして「ニューヨーカー」誌のライターでもある著者ガワンデが、圧倒的な取材力と構成力で読む者を引き込んでゆく医療ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
71
著者は、ハーバード大学公衆衛生学部教授で同大学院外科学教授である。父親の死や臨床経験をとおして、医療が命を延ばすことに固執するあまり、死にゆく患者にとって何がおろそかにされているのかを論じた本。病者や高齢者の治療において犯す最も残酷な過ちは、安全や寿命以上に大切なことがあるのを無視していることである。それは苦しまないこと、家族や友人との絆を強めること、鎮静をせずに意識を保つこと、他人の重荷にならないこと、自分の人生を完結させたいという感覚を得ること、そして自分の人生の一貫性を守ることであり、最も優先される2016/09/24
とくけんちょ
58
人間誰もが死すべき定めからは逃れられない。それでは、どう向き合っていくか、どのように終末を受け入れるのか。まずは高齢者、いわゆる老人ホーム、介護施設などで、どのように終末に向かうのかを実在の事例で語る。人が生きていくうえで、大切なものはなんなのか、安全、栄養、単に長寿だけではないはずだ。次に不治の病での終末を語る。死に単一の価値観はないが、定めをどう捉えて向き合うかを考えるきっかけになる本だ。しかしながら、まず定めを意識することが難しい。2019/12/21
Cambel
56
『近代医学の進歩は二つの革命を起こしたーー人生の経過についての生物学的変容と、経過をどう受け止めるかについての文化的変容である』どんどん医学が進む中で、どのように死を迎えるかの準備が追いつかない。緩やかにできないことが増えていく中でも、自分らしい生活がしたいという希望が叶えられる人がどれほどいるのか。寄り添う家族に負担がかからない社会とはどんなものなのか。一人で亡くなって行く人の人権が保たれるにはどうしたら良いか。問いばかりが増える。2021/12/27
たまきら
55
読み終わって泣いてたのに気づいた。シッダールタ ムカジーも素晴らしいけれど、この人の文章も素晴らしかった。西洋で教育を受けたインド系の人の説明や文章は、不思議なぐらい東西がバランスよく混在していて頭にすんなり入ってくる気がする。もちろん聡明な学者さんだから説明が上手なのは当たり前かもしれないけれど、似通った文化を持つ人が西洋の文化に戸惑うあたりなどが琴線に触れるのかもしれない。義父の事を思いつつ。2020/11/24
りつこ
39
病気になって病院に行くとき誰もが治ることを期待しそのためなら費用も副作用もどうにかしようと考える。これは本人だけでなく治療する側も同じで、だからこそ治らない患者に副作用の酷い治療を施したり、終末を迎えようとする患者に心無い言葉をかけてしまうことにつながっている。作者自身が医師であることもあって、勉強したりいろんなケースを見てきたことと、自分の親を看取った体験からの感じたこともあり、知と情その両方から語られているのが素晴らしい。避けては通れないことなだけに、家族にも読んでほしいし話しあいたいと思った。2017/12/14