内容説明
体格、体力、手先の器用さなどの「自然」に基づく不平等ではなく、地位、身分の区別、貧富の差といった「人為」によって作り出された不平等は、人間を惨めで不幸にする。そんな不平等の起源と根拠を問い、不幸を回避するための道筋を示す。格差社会が深刻化している今、ますます重要性を帯びるルソーの主著を、原文を感じさせる日本語で新訳! 断片のみが残された作品『戦争法原理』の復元されたテクストを本邦初訳で併録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じゅん。
7
ホッブズと対照的に、神がつくった世界は秩序が行き渡っていて、人為的な者、すなわち文明が不平等を作り出した。ものすごく緻密な論理、豊富な原注で描かれる。2024/11/28
M
7
人間が理解していそうで最も理解していない知識とは人間そのものに関する知識だと喝破する。もちろん現代では生物学的な知見からは人間の遺伝情報も解明され、人間に関する学問でも人間学から、文化人類学など多岐に渡るわけだが、それらを日常的生活の次元まで落とし込んだ時に汎用化できるものは一体どれくらいあるのか。人種差別などが本格的に問題視され始め、解消に向かう現代で、人間の原初状態における不平等の最初の起源を想像するという視点、不当な所有と個人的な資質にその源泉を見出し、その正当性を疑うという着眼は誤っていないだろう2019/03/25
シロビ
6
人間の不平等の起源を知る為に、人間が「必要」と認識しているものをまず全てを取り去って、自然にいた頃から考えてみよう!ということなのかな。納得いかないところも多々あるけど、発想は自分にはないもので新鮮。 人類にとっての「法律」がどんなものか、印象が少し変わった。「よりよい世界に」が原点のものもあるのだろうが、それよりも特定の個人が権力を持っていても不平等と気付かれないように「法律」を身代りにしているイメージ。中身は空っぽ。2017/07/07
yutaro sata
2
人間というのはどうしてこうも不平等になってしまうのか、それを、人間の社会の制度やなにやから一旦離れて、自然状態というものを仮定して、そこから始めて、いかに制度的なものが不平等を生成する必然になっているかを説いた本だと思います。ではそれを一体この後どう良くしていくのか、という話は私が読んだ限りではまだお預けになっているのかな、と。続きは『社会契約論』とか『エミール』とかになってくるのでしょうか。読んでみようと思います!2022/02/26
毒モナカジャンボ
1
すげーラディカル、そしてさびしい2024/08/31
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