内容説明
木曽の山谷が育てた天性の武人、義仲の31年の生涯。源家の御曹司として平家打倒の兵を挙げ京へ乱入、敗れた平氏は都を捨てる。義仲の権勢の日が始まったが、武力は憚(はば)かられても野人ぶりはからかわれ、後白河法皇の政略に斃れる。無垢な武将の鮮烈な人間性を描く表題作等、史上の英雄8人を描く傑作短編集。
感想・レビュー
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さつき
54
主に古代を題材にした短編集。表題作は木曽義仲を描いています。神功皇后の三韓征伐を題材にした『瑪瑙の鳩』、武烈天皇の狂恋『太子の恋』、安倍貞任と源義家の、とある女性を巡っての対立『血と恋の物語』など短編でも読み応えある作品ばかり。俊寛について、それぞれ違う見解がみえた『身中の虫』と『火焔浄土』も印象的。言葉の端々から香気が立ち上るような美しい文章で、読んでいて染み透るように良かったです。2018/07/27
Yukihiro Nishino
11
古代から源平の時代に至る短編集。あまり馴染みがない人物が多かったので、少々読み辛い部分もあったが、おもしろく読めたし、蝦夷や平将門、また木曾義仲にも興味がわいた。彼らに関する他の作品も読んでみたくなった。2016/07/10