角川ソフィア文庫<br> 釈迢空全歌集

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角川ソフィア文庫
釈迢空全歌集

  • ISBN:9784044000387

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内容説明

折口信夫(釈迢空)は近代日本にまるで奇蹟のように、古代の心、古代の詩歌のひびきを、鮮烈に蘇らせた歌人であった――。
短歌滅亡論を唱えるも、その真意は再生への願いであり、日本語の多彩な表記を駆使しながらつねに短歌の未来と格闘し続けた。折口が残した6冊の歌集に私家版・自筆選集、短歌拾遺、さらに関東大震災に直面し、短歌形式に収めることのできない苛烈な体験を詠んだ詩作品含めた、初の文庫全歌集。
「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」
生涯「旅びと」であった折口の姿が立ち現れてくる。

(目次)
海やまのあひだ
春のことぶれ
水の上
遠やまひこ
天地に宣る
倭をぐな
私家版・自筆選集
短歌拾遺
詩拾遺

解題
解説 岡野弘彦
略年譜
作品初句索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

51
折口信夫の短歌を全て収録した一冊。作者が作者だけあって、言葉遣いからどことなく万葉の香りが感じられる。大和や信濃、難波を読んだ作品が目立つせいか。それでも読んでいると著者の論文とリンクするような箇所をいくつも見つけられたり、関東大震災や太平洋戦争といった一時代を画した出来事も詠み込まれていたりする。特に後者の影響は非常に大きいなあ。それでも個人的には京大和や信濃の情景を謡った歌、沖縄の井戸を詠んだ歌等に忘れがたいものが多かった。万葉の言葉と旅愁が、実に上手くかみ合っている気がしたためかなと思う。2016/12/29

内藤銀ねず

8
【たゝかひを 人は思へり。空荒れて 雪しと/\とふり出でにけり】これを見て、まずは短歌だと思っていただければよい。ではこの短歌が二・二六事件に際して詠まれたと知った時、あなたは何を感じてくれるだろう? 時代の(または歴史の)、貴重な証言としてルポルタージュのように長い文章でなく、この三十一文字だけで伝わってくる空気。それが短歌の持つ力だと思う。将来、東日本大震災に際して詠まれた歌もきっと、こんな風に空気を伝えるんじゃないかな。同時代には無力な短歌、それでも詠むのが歌人の仕事だと改めて思いました。2018/01/17

belle

4
初めて出会った歌は「葛の花 踏みしだかれて 色あたらし。この山道を行きし人あり」だった。国文学者、民俗学者としての折口信夫の著書もいろいろ読んだ。でもやはり歌もよいなあ。おおらかな詠みぶりだが、短歌表現とは格闘し続けたようだ。全歌集とあるが詩作品も含まれている。2016/08/01

OraInuchan

1
通読2回目。2023/03/05

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