内容説明
盲目の地唄の名手・春琴は丁稚奉公の佐助と心を通わせていく。そんなある日、お琴が顔に熱湯を浴びせられるという事件が起こる。そのとき佐助は――。異常なまでの献身によって表現される、愛の倒錯の物語。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
112
谷崎得意のマゾ小説のはずだが、相当の性格な2人が、外から見るとツンデレ・上下関係ありありであるが、佐助の見えなくなった目も相まって、実は2人が、2人だけの世界を作り、心で手を繋ぎ合っていると言う事を想像させる純愛小説である。そして、さらに佐助は目が見えなくなった後に、彼女に手を触れながら、彼女を感じて最後まで尽くしたんだろう。2021/11/11
扉のこちら側
109
2016年506冊め。新潮文庫版で初読、角川文庫で再読。句読点についての実験小説でもある。流れるような文体で、読み手を引き込む。谷崎ならもっと難しい語句を使って難しい表現で書くこともできたはず。そうしなかったところに、架空の伝記小説として読ませるための計算を感じる。二人の間にあったものは愛なのか、それともそれに近く非なるものなのか。やはりわからない。2016/07/02
ehirano1
96
佐助のエクストリーム・ドMぶりにはもう驚愕以外言葉が見つかりません(笑)。一方で、「耽美主義」、つまり美しいものを最上位とする、ということはエクストリーム・ドMの先にこそ「耽美」とやらがあるということかなと思いました。2024/06/22
吉田あや
87
主従関係であり師弟の契りを結ぶ11歳の少女・春琴と、15歳の少年・佐助。幼くして盲人となった端麗なる少女・春琴の身の回り全てのお世話をしながら、生涯を通して春琴への想いを貫く佐助の狂気にも似た思慕の念を、伸びやかに甘美な筆致で綴った「春琴抄」。幼き日、春水が湧き出づるように萌芽していった恋が、自己犠牲の果てに暗闇を照らす幸いの光に包まれた邂逅となり、読者の心を凌駕していく。愛の形も、愛する人の姿さえも、全ては自らの幻想の一部であり、真実がいつの日も幸せとも正しきこととも限らない。(⇒)2019/10/16
魚京童!
59
私も目を突き刺したくなる相手と出会いたいものだ。幸せってなんなんだろうね。没頭してることなのかな。自分を失っているときに幸せなんて嫌だと思うのはそういう風に頭が固定されているからかな。テーゼとアンチテーゼが出てきているから、後はジンテーゼに仕上げるだけだけど、そこに浮遊すす時間があってそこで今現在ふわふわしているのだろうと思う。もう少し空を飛んでいるんだと思うけど、着地しないとまずいとも思う。降りなきゃと思いながら降りられない現状ってそれはそれで幸せだとも思う。しかし一瞬一瞬の連続した幸せだけど。2016/11/13
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