内容説明
みずからの置かれた状況を冷静に把握し、果たすべき役割を完璧に遂行する。しかも皮相で浅薄な価値観に捉われることなく、すべてを醒めた眼で、相対的に見ることができる人間――それが行動的ペシミスト。「声なき少数派」である彼らの代表として、大声でまかりとおっている「多数派」の「正義」を排し、その真髄と美学を、イタリア・フィレンツェで綴ったメッセージが本書である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
87
面白かったです。醒めた目で見るマイノリティ、声なき少数派、行動的ペシミスト。正義を排することで見えてくるのはイタリアの歴史の真髄と美学のように思いました。夢も怖れもなく淡々と語ることで儚き人々が影で冷静に行動してきたことがわかります。価値観にとらわれないことで、爪痕こそは残さなかったものの、歴史の時間に刻まれた小さな証があったことを知らされた気がしました。2017/05/05
KAZOO
85
塩野さんの歴史物もすきなのですが、このような時評エッセイもすきです。新潮45+という月刊誌に連載されていて当時読んだ覚えがあります。1冊にしてみるとかなり読み応えがあります。様々な文献を読まれていてそれについての論評が私には非常に参考になります。最近はあまりこのようなものを書かれていないのでもう少し読みたい気がします。2015/08/13
優希
72
少数派の真髄と美学を語り尽くしているように思えます。行動的ぺミニスト、醒めた目で見るマイノリティ。それが塩野さんにとってのフィレンツェなのかもしれません。淡々と肩られることで儚き人々の冷静な行動を見たようでした。価値観にとらわれないことで、歴史に爪痕は残さずとも、その時間の中で刻まれたものがあることは確かでしょうね。2020/02/29
U
49
すべてを醒めた眼でみる。夢もなく怖れもなく。声なき少数派、行動的ペシミスト。硬質だけれどまわりくどさがなく、鋭いものいいが爽快。よんでいて気持ちのいい作品だった。とくに「ある脱獄記」「間奏曲」「偽物づくりの告白」あたりが気に入ったが、全話について興味深いものがあった。マキャベリとチェーザレ・ボルジアとのつながりを、著書で確かめたいと思った。2015/10/20
sk4
41
若くして亡くなったSF作家、伊藤計劃氏の作品中の【ミーム】という言葉について、色々考えさせられている。 国として誕生、成長、衰亡を正しく全うしたローマ帝国の良い所だけを見習えばいい!と言ってもそれが出来ない。日本人の他国から理解されない軍備アレルギーが、民衆を守るために武器を持つという【騎士道】を持たない【武士】に長らく支配された日本人の【ミーム】によるという事情が確かにある事からも分かるように。 とは言え、歴史を鑑みて学習することは、良い【ミーム】が子孫に伝わるという点で、欠かしてはならないと思います。2013/06/02
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