内容説明
東京・下町の枕倉北商店街はタヌキで大騒ぎ!? 通りの入り口に突如タヌキのでかい置物が置かれたり、頼みもしないタヌキそば10杯が出前されたり、喫茶店の前には分福茶釜が置かれたりと、犯人の意図も動機も分からない事件が続発。だがそれは、やがて殺人事件に発展する。容疑者は、第一発見者で失業中の唐岸誠矢、30歳。身の証を立てるため、誠矢は事件の謎に挑むが、直後に第2の殺人が……。頭から尻尾までタヌキ尽くしの異色ミステリー、第14回横溝正史賞佳作受賞!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
15
再読。犯人以外はすべて忘却。デビュー作だからかいつもの「あるあ・・・ねーよ!」なバカトリックこそないけど意外な所から出て来るロジックと(一部あれ?なところあるけど)動物に淫した霞さんのおなじみスタイルはデビュー作から完成されている。後食べ物を前にした素人探偵団的な掛け合いも楽しい一冊。2019/07/16
み
9
面白かったぁ♪何かのアンソロジーで気になった作家さん。脱力系ですが、筋はしっかり。タヌキを巡る謎解きです。2013/12/10
みっつ
4
何が凄いって「霞さんらしい雰囲気!」とデビュー作の文面でもすぐに感じられるところ。何と言うか、安心しました。商店街の個性的な面々を軸にした証拠集めでも読者を退屈させない工夫とロジカルな謎解きの完成度は高し。文庫化されていないのが本当に不思議な一作。2009/11/28
shibatay
4
やっと手に入れて再読できました。これ、傑作だと思うけどなー2007/07/23
はんげつ
2
商店街で起きる殺人事件とタヌキに関係のあるモノがあちこちに出現するという出来事の二本柱がなかなかの不可思議さ。タヌキの方については拍子抜けの感は否めないものの、殺人との関わり方にはなるほどと思わされる。すべてのデータが揃ったところで展開される消去法による犯人特定は、犯人の条件として挙げられるものの一部には少し厳密さに欠けるきらいがあるが、あからさまな手がかりから「そんな推理ができるのか」というロジックが導かれる楽しさは十分。オチのタヌキ囃子が美しかった。2017/02/13