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内容説明
キリスト教が心なら、ハプスブルク家は背骨である。ヨーロッパの「宗家」ハプスブルク家の盛衰。王家の中の王家、超国家的な支配原理で陽の沈まない帝国を築いたハプスブルク家。カール5世、マリア・テレジア等の闘争と政略の700年を通しヨーロッパを考える。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
94
ヨーロッパの全領域に及ぶローマ教皇庁と並ぶただひとりの王朝、ハプスブルク家。1273年ルドルフ一世が神聖ローマ帝国の王位に即いて、15世紀後半マクシミリアン一世がブルゴーニュ公国の君主となり、孫のカール五世はスペイン王となる。ハンガリーとボヘミアの王冠も兼ねて、英仏とローマ教皇庁領以外はほぼハプスブルクの支配下になる。歴代の君主たちは芸術に対する理解が深かった。マリア・テレジアが近代化を推し進めるも、1918年フランツ・ヨーゼフ亡き後、ハプスブルク帝国は消失したが、ウィーンとマドリードに芸術は残された。2022/10/30
Y
47
読書において読みやすさばかりが持て囃されることに前から疑問があったけど、この本では読みやすさがかなり効いてた。ハプスブルク家は西洋史の根幹の一部を担ってるってことはなんとなく知ってたけど、ここまでとは思わなかった。これまで蓄積されてきた知識とこの本を読んで得た新しい知識とが新たな一点を結んで西洋史を多角的にとらえることができた気がする。フランツ・ヨーゼフ周辺のことって日本の歌劇でも人気のモチーフだけれど、確かにドラマティックな人ばかりだ。フランツの人生の波乱万丈さについてしばらく考え込んでしまった。2014/02/22
nnpusnsn1945
43
ハプスブルク家は神聖ローマ帝国や、スペイン、オーストリアの王、皇帝を輩出した家系である。独特の顎や近親婚がやり玉にあげられやすいが、政治は勿論、芸術にも長けていた。本書では、マクシミリアン1世、カール5世、マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフに絞って解説されている。近頃読書から遠ざかって世界史の解説動画を閲覧していたが、ハプスブルク家の家系図を辿る動画が面白かったので読んだ。2024/06/28
zirou1984
25
700年を誇るハプスブルグ家の中でも、名君と評価されるマクシミリアン一世、カール五世、マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフの4名を中心に取り上げた良書。出版された90年にはカール五世やマリア・テレジアの評伝は決して多くはなかったということで、国母と評される彼女が国家の近代化をいかに成し遂げたかの解説にはかなり力が入っている。帝国の瓦解をひとりくい止めたフランツ・ヨーゼフの晩年には滅びの美学のような哀愁を感じてしまう。オーストラリアを中心とした東欧の歴史についての入門書としておすすめ。2019/03/30
おはち
23
ウィーンに行く前に勉強として…と思ったけどハプスブルク家の650年でウィーンが主役になるのは大分限られてた。歴史についての本はどうしても偏りがうまれてしまうと思っていて(本書の場合ハプスブルク家を好きな著者が書くわけだからハプスブルク家を悪くは描かない)、あまり鵜呑みにしないようにしているけど、一方でその過剰な偏りは著者の「大好き」が詰まった部分なのでそれはそれで面白い。著者のマリア・テレジアへの愛が伝わってきました。2019/11/01