内容説明
生命の本質を理解するには、分子生物学の成果を基盤とした「システムとしての生命」の理解が不可欠。システムバイオロジーの提唱者、北野宏明氏が、生命の「ロバストネス(頑健性)」原理、脆弱性とのトレードオフ、進化との関係をわかりやすく伝える。癌の予防や治療、人工的にロバストなシステム(会社)を構築する方法論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
モッタ
14
★★★★★ 生物をシステムとして捉え、「生命とは何か」を問う。”生命とは動的平衡である”と福岡伸一さんは著書で書かれていた。北野宏明さんはロバストネスという考え方を用い、それが進化や生存の鍵を握っていると説く。ロバストネスとは簡単にいってしまうと、強靱性だ。イメージとしては「しなる」状態の印象を受けた。生命とはしたたかなものである。2012/03/23
ラーメン小池
2
ロバストネス(頑健性)とフラジリティ(脆弱性)のトレードオフの問題は企業で言えば過剰適応することで利益を最適化できる一方で、情勢の変化に対応できないことに通じると考えることができる。生命について、一見無駄に見える冗長性の存在が重要であることも、企業の人材にも当てはまるとも考えられる。DNAなどを基にした生命論から一歩離れて、腸内細菌などとの共生による自己拡張型の進化論など、新しい見方を提供してくれる。科学に興味がある方だけでなく、社会構造や企業・組織論に興味がある方にこそオススメ。2014/02/08
やす
1
よくわからなかった。2025/01/22
Kentaro
1
ダイジェスト版からの要約 吉野家は、米国産のショートプレートという種類の牛肉だけを輸入していた為、BSEで米国産牛肉全面輸入禁止という原材料供給の擾乱に対してロバストではなかった。しかし、最適解の輸入ルートに限定していたからこそ、国内の同業他社の攻撃やいろいろな対抗商品に対して極めてロバストだった。吉野家はこれにより価格と品質で抜群の競争力を発揮した。他の牛丼屋は、仕入れルートを若干分散していた為に、ある仕入ルートが断絶してしまうという事態に対してロバストだった。競争優位を引き出すのもロバスト経営なのだ。2018/07/26
たかD
1
数理生物学に興味を持ち,読んだ.システム生物学の第一人者による,一般書.生物を,’環境からのストレスに対処するシステム’とみなし,その性質は制御工学やアルゴリズムから理解できる―と,説く.著者が情報出身だからかもしれないが,視座も着眼点も常に距離を感じる一冊だった.また,著者が米国で教育をうけたから―かもしれないが.説明が冗長で,具体例がしばしば無意味に専門的だと感じた.盛り上がりにかける,図のない本文は単調で興味を持ち続けるのが難しい.システム生物学が黎明期にあり,語る内容が少ないという事なのだろうか.2014/05/12