内容説明
もし、東京上空に侵入機が現れたら? 日本―空襲と聞き、多くの人が連想する「B-二九による無差別爆撃」あるいは「東京大空襲」ほどの被害はなくとも、日本有史以来、戦後70年が経った今でも敗戦国扱いされる我が国を象徴する事件があった。それは、第二次世界大戦下、1942年4月18日にアメリカ陸軍航空軍による日本本土に対する初めての空襲だった。後に『ドーリットル空襲』と呼ばれたこの史実は、アメリカでは英雄譚として語り継がれ、日本では原爆投下へのカウントスタートを連想させる悲劇でもある。東条英機首相機上戦死の危機、米大統領の爆撃意図と空母ホーネットの出撃準備、監視艇出現による空襲計画の変更、ドーリットル隊16機の行動と戦慄のすべて他、原資料発見によって初めて明かされる帝都初空襲の実態と被害の全貌を解明する。日本国敗戦の呼び水となり、小さな被害と大きな衝撃を残した作戦は、奇襲に対する情報評価の難しさを教えてくれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roatsu
12
書棚の整理時に再読。地味な事件と認識されがちだが、以降の日米戦に大きく影響した米軍による昭和17年4月の日本本土空襲の全貌を描く力作。陸上機であるB25重爆を空母に積み日本近海へ接近して発進させ、大都市へ奇襲爆撃をかけた後は支那へと避退させるという米国らしい大胆な奇策がどのような意図で発起、展開され成功を収めたかが豊富な情報と体系だった記述で描かれる。また、日本陸海軍の防備状況、民間徴用された海軍特設監視艇の報われぬ奮戦、幼い子供を含め無辜の市民が多数殺戮される嚆矢となった各都市の空襲被害なども写真を交え2018/06/23
1_k
0
真珠湾やらミッドウェーやらレイテやらの派手で目を引く作戦の本はあるが、ドーリットルに絞った資料は本書くらいしか無く、他の資料は及びも付かないほど深く詳細。米軍側の証言なんかは本邦ではこの本にしか載っていないのではなかろうか。ほとんど生のデータや証言を整理しただけなので、作為的な憶測等が少なく、1.5次資料として非常に有用。惜しむらくは、マイナーすぎて出版年が最近なのにとっくに絶版で入手困難なこと。必要に迫られて古本屋で入手したが、高かった。2015/01/10
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