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内容説明
国民の統合を前提とする近代国家は、人々の生活や文化のすみずみにまで関与し、そこに国家の意思を貫徹しようとする。しかし私たちは国家を相対化し、対抗する精神を必要とするのではないか──。近代天皇制において日本はどのように国民の「臣民化」をはかったのか。「国家神道」のもとに国民を統合しようとしてきた歴史は、いまの私たちにどんな課題をつきつけているのか。近代日本がつくりあげた文化的枠組みの構造と実態を、宗教という視点から再検討し、国家中心主義を超える道がどこに、どのように用意されていたかを探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
編集兼発行人
2
我が国において陰陽に形成される精神的な枠組に関する考察。朝廷の神聖性を担保するために忌を肥大化かつ極度化した結果としての神道。近代化の過程で世間に浸透した禁忌に纏わる有形無形の制度。掌握すべき人心を有する国民を創出すべく政治の精神的な中枢として用意された帝室。孝に上位する忠を加速させた教育勅語。フォークとネイションとの対立的な観点。現世主義の昂進を背景にした現人神。廃仏毀釈が齎した民俗的な他界の抹消。国家により下命された信教の代替を用意できず信教自体を失った来し方を詳述し行く末を思案するという構えに同情。2013/12/04
三上 直樹
1
宗教と国家のかかわりを、民俗学的視点、江戸時代の国学、明治期の廃仏毀釈、そして大逆事件をトピックに批判的に描き出した労作。中でも、著者が「幸徳事件」と呼ぶ大逆事件は、まさに共謀罪の萌芽と言えるだけに、改めて考えてみたいと思います。2017/06/02
すぐる
0
○2013/04/24