内容説明
従来の仏教は、生きる上での「苦」の原因を、前世からの因縁や個人の心の奥底に巣食う強烈な自我に求めてきた。しかし、戦争で命を落としたり原発事故の被害に遭うことは、個人の過去や心のありように原因があるのだろうか。そうではなく、政治や社会構造に問題があるのではないか。ならばその苦の原因を取り除く行動を、いまや仏教は起こさなければならない。「すべての衆生を救わずにはいられない」という仏教徒の第一の使命に立ち返り、法然・親鸞によって確立された浄土仏教を受け継ぎながら、その教えの中味を現代的な形に作り変える。行動する仏教=エンゲイジド・ブッディズムの意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
10
放射能は、怒りの表象なのかもしれない。封じ込められない格差社会。無関心apathyの語源は、ギリシャ語のApatheia=苦しみを受けないことに由来する。苦しみに向かい合うと自己の基盤が崩れるように思う(019頁)。こだわりすぎると見えなくなることを自戒させられる(020頁)。死刑制度を廃止した国家は少ない(026頁)。おそらく性悪説で人間を見ているからだろう。著者は死刑に反対する。私は無期懲役を選択肢として与えていいとも思う。難しいが。サルボダヤ運動は野田真里先生を想起。六道輪廻(110頁)。苦を絶つ。2013/08/21
Kano Ts
3
現実的な仏教の実践方を提示してくれる本。宗教って日本に限らず変に仰々しい存在になってしまったね。人を救うための存在じゃなくて、まずは存続すること(一部の団体は大きくなり利益を得ること)が目的になってしまった。大乗仏教の考え方を現代に合う形で教えてくれます。2023/07/27
ラーメン小池
1
名著との評価が高いとのことで一読。仏教や親鸞の教えというより、現代社会における絶望や無関心の正体などを、現代日本の社会現象や米国での経験などから解き明かすことから話が始まる。著者はNHKディレクターの後、大学で教鞭をとった経歴を持ち、純粋な宗教家というわけではない。このためか、文章が読みやすい。また文章の格調が高く、本質について鋭く説いていると感じる。かなり乱暴にまとめると、絶望や不安、無関心などはエゴから生まれるということを解き明かし、心の平安を得るには自分の内面に入りこむだけではなく、2014/06/10
Riko
1
身内の書いた文章が引用されているということで送られて来た本。 これって対象読者はどんなもんなんだろう…?と首をひねりつつ読了。2011/09/18
りん
0
仏教とは何かっていうそもそものところがわかる本2017/06/10
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