ちくま学芸文庫<br> フンボルト 自然の諸相 ──熱帯自然の絵画的記述

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ちくま学芸文庫
フンボルト 自然の諸相 ──熱帯自然の絵画的記述

  • ISBN:9784480094360

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内容説明

フンボルトの中南米探検行は6年の準備をかけ1799年に始まり、5年の歳月を費やした。彼は、地形や気象、地磁気などを機器測定した科学者であると同時に、ゲーテとの交遊からうかがえるように自然を深く愛好する人でもあった。「長い乾季のあと……草原の情景は一変する」「爽やかな雨を告げるのは、遠くの雷鳴である」「大地の表面が水でうるおされるや否や、かぐわしく匂う草原は多種多様なスゲ科植物、円錐花序モロコシ類、多種多様な禾本科植物で覆われる」。自然の全貌を絵画のように描きだしたこの科学的エッセイは、新しい旅行文学としても人気を博した掌編である。図版多数収録。本邦初訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

9
インディオ達が馬を使って電気ナマズを捕獲する際、フンボルトもボンプランも感電したという(066頁)。水族館でもゲージで電気が発電されているのがわかるが、当時はどの程度の知識があったのだろうか。かつて、ベネズエラから来日していた留学生に遭遇したことがあった。殆ど日本人には認知されていないと、彼女はアンケート調査していたのを想起する。オリノコ川はアマゾン川よりもなじみが薄い。訳注と一緒に、要旨が付されているのは助かる。文明社会に毒されている人間なので、こうした自然世界に遭遇すると、全く自分が非力と思い知る。2013/07/27

tsubomi

6
2015.09.19-10.13:フンボルトといえばフンボルト・ペンギンしか思い浮かばなかった私ですが、そのフンボルト氏の著作。アレクサンダー・フォン・フンボルトは兄を介してゲーテらと交流し、後にはシーボルトとも交流したドイツの地理学者。本書の中では特にオリノコ川の探査が印象的です。二つの色の違う川の合流点を探り当てたときの光景に私も彼と一緒に感激しました。火山活動と地形や自然環境による生物への影響についての考察も驚く程現代的で、しかも人種や民族について公平でリベラルな視点で書かれていて好感が持てます。2015/10/13

999

1
再読。絵画的記述という試みのように自然や風俗が美しく色彩豊かに書かれている。自然の様子を永遠の青春の更新と呼ぶフンボルトの記述は読んでいて楽しかった。季節を巡り、葉をつけ実を実らせていく風景の流れを読むと現実でもその姿を探すようになる。ただ植生や岩石の深い造詣が書かれているが岩石の方はてんで分からなかった。またいつか読み直してみようと思う。2018/03/04

どさんこ

0
この時代に地球温暖化について危惧を感じた人がはたしてどれだけいたのだろうか?地球全体を一つの生き物ととらえることができて初めてそんな考えに至ったのだろう。多方面についての実質的な知識を持っていたフンボルトならではのことだ。2017/04/14

999

0
面白かった。と言うのもこの本やこの著者の他の本を読んで多くの偉人が旅に出たことを知っているからこそ楽しめたと思う。 この中でフンボルトは幼い頃の経験が未来の自分の視点を決めると書いている。この本で書かれているのはフンボルトの視点である。この本を読んで自分はどうなのか?と思い、行動に変えたのが偉人たちだったのだろう。 そういった点で人に行動力を与える本だと思った。2017/03/28

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