新潮文庫<br> 暗い旅

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新潮文庫
暗い旅

  • 著者名:倉橋由美子【著】
  • 価格 ¥440(本体¥400)
  • 新潮社(2016/06発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101113029

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内容説明

他者との自由な関係を認めあった恋の、突然の破綻――“かれ”の失踪。“かれ”を捜しに暗い旅へと出発した“あなた”の心は、失われた愛を求めて過去へ内部世界へと退行してゆく。だが、絶望は次第にイマジネールなものの中に吸収され、最後に“あなた”は一つの小説を書くことを決心する。〈ことば〉の自己繁殖によって反世界の文学空間をきりひらく、倉橋由美子の処女長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りりす

29
幻想ブックカフェで買いました。〈あなた〉は、失踪した恋人の〈かれ〉を探して暗い旅の一歩を踏み込みます。タイトルの『暗い旅』とは何を指すのでしょうか。失踪した恋人を探すという旅のことか、それとも失踪しなくてはならなかった〈かれ〉の人生そのものが暗い旅なのか。失踪した恋人を探す旅路の中で、〈あなた〉の精神の内部へと踏み込んでいく探索が暗い旅なのか。「愛しているからセックスしない」という、人に理解されにくい心情を読んだとき、ああこれは私の好きな『聖少女』を書いた倉橋由美子だと感じた。私も「そう」考えていたから。2015/10/19

あ げ こ

4
失踪した”かれ”を求め、旅に出た”あなた”…死滅した愛を巡るそれは、まるで愛を弔う為のものであるかのような、暗い旅。裏切られ、鈍く痛む傷口から自らの内に沈む”あなた”は、失われた愛を反芻することで、その形を明らかにしようとしているかのよう。互いを愛するが故に、共犯者となることを選んだ二人。男として女として、演じ続ける性。愛を守る為に交わした裏切りの約定。若く青い涙。愛を解読する為の行為が導く自由。体内を黒々と流れる血液のような、徐々に形を変え行く淀んだ思いの陰鬱さ、かすかに快い暗さの波に、身を委ねる。2014/03/27

M_A_I_hs

2
通算4読目?でも今回が一番面白くて、後半は息が詰まりそうになりながら一気読み。やっぱりじぶんにとって特別な作品のひとつ。2014/07/08

jansenist

1
プルーストの手法を不本意的想起(僕はほんの少しを、ふと齧ったマドレーヌから過去を想起する場面を読んだだけだが……)とするなら、この作品は自らの行動によって積極的に過去と向き合う方法をとっているから本位的想起と呼べるだろう。それは倉橋由美子さんらしい挑戦的でシニカルな態度を根本としてい、悪意や虚無やオントや、様々なものに向き合う(しかし、本当にそうだろうか?)主人公の姿は力強く痛ましいように僕には思える。2014/03/23

0
Y-202001/04/06

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