内容説明
三味線作り、櫛づくり、文楽の人形師、きせる作りなど、伝統工芸の名匠たち。講談師、幇間といった名人たち。そして、ふぐ、そばなどの名料理人たち――。日本の伝統を守る名人・名工30人を訪ねて、「ひとり孤独な自分の道を往く職人の姿の尊さ」をつづる。かつて「銀座百点」に連載され好評を博し、さらに21世紀にも伝えるべき、貴重な訪問エッセイ。
感想・レビュー
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nonpono
5
最近、日本の伝統文化を学び日本に行きたい外国の人を招待し、学んでいる日本の伝統文化を体験しでもらう番組が好きだ。彼らの眼光は鋭く一瞬たりとも無駄にしない真摯さ、憧れ、もらい泣きすることがある。世界に誇る日本の伝統文化に従ずる人々を瀬戸内晴美が訪れるシリーズ。櫛を作る職人の「何の仕事でもね、心のこもったものというのはひとめでわかるもんですよ。」という言葉が響く。本書は昭和五十九年に出版だが、この頃からすでに職人の賃金の安さ、後継者不足に嘆いている。手に職がある人生、一筋縄でいかないけれど、やはりかっこいい。2023/06/08