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内容説明
日本人なら、誰もが習い覚えた『方丈記』。その作者の鴨長明といえば、「数寄」の語で語られ、ディレッタントともいわれてきた。他方、その世界観は、しばしば仏教的無常観といわれてきた。これまで鴨長明の名は、かなりの長きにわたってよく知られてきたが、その像は、なかなかひとつに結ばれなかった。そこで、『方丈記』に『無名抄』『発心集』を加えた三作から、新たな鴨長明像を提出する。そして、「ゆく河の流れは絶えずして」にはじまる世界観がなぜ現代人の心によく響くのかを明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ターさん
2
「上賀茂、下鴨のふたつの神社の社格は、京の都で抜群だった」長明は、その下鴨神社の神職の家に生まれた。禰宜になることを約束された身であったが、その道はかなわなかった。長明は、そのことにこだわっていたようだ。逃げるように出家し、方丈の小さな庵を結ぶ。もしも、禰宜を継いでいれば、『方丈記』はこの世に存在しなかったということか。長明は和歌の才も相当だったようだ。また、琵琶の名手でもあった。自ら琵琶を製作し、後鳥羽院に献上している。そんな「器用」な長明が、組立分解の可能な庵を作るのは、わけもないことだったのだろう。2022/11/30
左近
2
タイトルは鴨長明だが、むしろ、その生涯や著作を取っ掛かりに、和歌論や随筆論等を概観するのが真の目的に思えてくる。とは言え、長明の生涯について、基礎知識しか無かった部分を深めてくれたり、同時代、そして後世の人間が人物像や著作をどう捉えていたのか、わかって面白かった。藤原定家に関して、今まで思っていた以上に、エキセントリックなイメージが強くなってしまった。2016/08/04
てり
1
鴨長明ってどんな人だっけ?と手軽に手に取った自分には専門的すぎた。「精神に生を衛ることによって得られる魂の至福の状態がありえるということを訴えてくる」2021/04/19
396ay
1
前半の長明の半生は、当時の歴史や人名に疎く理解できなかったところが多かった。後半の『無名抄』『発心集』『方丈記』を読む、目的で借りた。以下はメモ。2020/08/21
インテリ金ちゃん
1
鴨長明没後800年。人間が社会に生きるための集約点としての[住まい」が『方丈記』の秘密か...2016/10/16