内容説明
ヒトラー政権誕生から終戦までに、著名音楽家たちはどう生きたのか。独裁体制から逃れるために亡命した人、独裁政権の宣伝塔となった人、戦場で戦った人、強制収容所で生死の境にいた人……。約50人の音楽家たちが直面した苦難と歓喜。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
115
第二次世界大戦のとき、世界の著名音楽家たちはどんな行動をとったのか? を演奏記録と共に克明に綴った好著。1933年のヒトラー政権奪取から書き起こし、ワーグナーの聖地・バイロイトが「ドイツの国威昂揚の場」となったのに対し、オーストリアのザルツブルクが反ナチスの「自由の砦」に。ダイナミックな時代の流れを音楽界を舞台に、よくまとめてくれた。共にドイツを代表する、フルトヴェングラーとカラヤンの確執はどこから生まれたのか、も興味深かった。斯界に造詣の深い中川右介ならではだった。2018/12/13
harass
60
ナチスドイツの台頭から戦後までの世界大戦で巻き込まれる音楽家たちを描く。名盤で名が残る名演奏家指揮者たちが大量にでてきてクラシックファンにはオススメ。個人的に好きで興味のある分野、戦史とクラシック音楽の本で期待して手にとったのだが淡々とした教科書のような記述はすこし退屈に感じた。新書一冊にまとめたこと自体が大したものなのだが。フルトヴェングラーは結局ナチスに利用されるようになったが、十数人の愛人がいて面倒をみていたそうでそれでは身軽に動けないだろう。若く野心に満ちたカラヤンはヒトラーに嫌われてしまう。2016/11/23
本木英朗
28
政治と軍事が一体化した恐るべき権力が、文化や芸術に対し統制を図り始めた時、どれだけ多くの人々が本来持った才能と果たすべき役割を捨てねばならないのか。そのあらましを、クラシック音楽と第二次大戦に焦点を絞った歴史ドキュメンタリーが本書だ。記述はあくまで淡々としているがゆえに、その陰にあったであろうドラマに思いを寄せることができる。とりわけフルトヴェングラーの、自己の信じる芸術を守るために時代に翻弄されたその姿には、同情を禁じ得ない。批判されるべき点があるにせよ、彼の音楽に対する誠実さは損なわれるべきではない。2016/06/29
どら猫さとっち
9
第2次世界大戦、作曲家や指揮者、演奏家たちは、過酷な戦火のなかどうやって生き抜いたのか。動乱を生きた巨匠たちの激しくも悲しい、壮大なドラマがこの一冊にある。クラシック音楽の発祥の地・ドイツは、ヒトラーによってナチスの支配下にあったというのは、芸術においても悲惨なことだった。そして、イタリアもロシアも、独裁と戦火のさなかにあった。本書を読むと、クラシック音楽観が違ってくるだろう。2016/04/21
美東
5
読み通すのにかなりの忍耐を必要とした。クロニクルとしての意義はあるものと思うが、読み物としてはどうかと...。2020/03/20
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