内容説明
戦乱の世に仁義道徳を主張して学団を組織し、志士仁人の道を説いた中国古代の思想家・孔子と、民国初期の植民地化という危機を背景に、国民性の改革をめざした魯迅。中国史の豊かな素養を背景に、彼らの活動に共通する「教育」という側面に着目し、国家と社会の「教育」に生涯を掛けたその思想と行動を浮き彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
21
孔子の儒学は、芯さえ外さなければ、イメージよりも自由闊達だと教えられた。ただ、その余白を後世が封建主義として利用したことにより魯迅が苦しむことになったという仕儀。当たり前のような考え方や振る舞いは、常に再考すべしというのは、不変のことだ。2024/02/27
酔うた
0
中国の「いい加減さ」を戒めた魯迅と、実は究極のリアリストでもあった孔子、中国の源流を覗くことができた。それはののまま現代中国問題と直結していて、すなわち日本の問題となる。片山氏の魯迅へのまなざしがとにかく「熱い」ように感じるのは、魯迅の偉大なる精神のなせる技だと説得させられる。2015/10/17