内容説明
長らく「治らない」と言われていたアルコール依存症。日本初の専門病棟で医師としてのキャリアを積んだ著者が行き着いた「常識哲学」「常識による治療」とは何だろうか。性依存症者でもあるソーシャルワーカーとの往復書簡を通じて、なだいなだのスーパービジョンが始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ノンケ女医長
31
アルコール依存症治療について、開院当初に久里浜病院へ赴任した精神科医と、依存症当事者でもあるソーシャルワーカーの、書面を介したやりとり。治療の困難さを、自己分析を通して浮き上がらせていく文章の深さが実に素晴らしい。本人、家族の病理。そして支援者の病理は、難しく、そしてやっぱり興味深い。著者の信念通り、難しい表現は控えられた分、医療への想いが心にすっと入っていく。やはり、熟達した精神科医の選ぶ言葉、作り出す文章は読み応えがある。今後も読み返したい。2024/06/22
gtn
26
著者吉岡氏は、一時、職場の人間関係に悩み、出勤拒否に陥る。それまで施しの対象だったアルコールや薬物異常症の人たちが同類に思えてくる。思い切ってアルコール依存症者のサークルに参加。無条件に受け入れ、話に耳を傾けてくれる仲間がいた。相手の苦悩に同苦することが、お互いの悩みの昇華に繋がることを知る。2019/12/10
うちこ
6
わたしはアルコール依存症といわれるものを「治る」「治らない」という文脈では語れないものだということを、なかなか他人に説明できません。 「治る」って、どういうことを言うのだろう。生きているうちに証明できることだろうか。そして証明するとは、誰に対して? これはまるで「悟った」ということを証明しろというようなもの。そんなことを、コンビニでお酒が買えるようになってしまったこの社会で、どうやるの。わたしは一時期、よくそんなことをよく考えていました。 なので、たいへん沁みました。2017/01/17
のぞむ
4
このようなタイトルであるけれど、あまりアルコール依存症について積極的に書いた書とは思えませんでした。特に冒頭は全然依存症と関係ない話ばかり。なだ氏の食って掛かるような物言いにも違和感を覚えたため、読むのを中断しました。主にAAありきの治療法が書かれているようですが、今までに読んだ依存症関係の本と特段異なる内容もなさそうでした。ちょっと残念です。2013/11/30
げんさん
3
アルコール依存症は患者の治すという意志が欠如しているという考えが常識ではなく偏見だった。それまで、ぼくは、世の中には、正しい考えと偏見があると考えていた。そして、偏見は当然、正さなければならないと。だが、偏見などないのだ。古くなって、改めねばならぬ常識が、偏見と呼ばれるだけなのだ。だれしも「偏見を持っている」といわれるより「あなたの常識は古い」といわれた方が、受け入れやすい。2024/07/07
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