内容説明
伊豆にある老人ホーム「のっぴき庵」の入居者は、仕事がないベテラン役者のみ。大スターの入居、脇役俳優の失踪、女優の結婚宣言など、一癖も二癖もある面々が起こす騒動はオーナー・今村富夫の悩みの種だ。そんな気苦労の絶えない富夫は考え続ける――「『人生、半ばあきらめて、終着駅を待っている』と口にする“のっぴきならない”彼らに、僕は何ができるのだろうか」と。そして、思わぬトラブルをきっかけに大きな賭けに出た!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
116
初読みの作家さんだが、いいよ。いい感じ♪のっぴきならなくなった元俳優たちが暮らす老人ホーム「のっぴき庵」を舞台に繰り広げられる老練俳優たちによる人間ドラマ。様々な役をこなす器用な俳優たちが、実生活は不器用で淋しがり。新婚の頃、太秦映画村に隣接したハイツに居た頃を想い出す。時代劇衰退期で俳優に出会うことはなかったが、どことなく情緒のある町だったな。2016/06/28
ぶんこ
46
売れなくなって生活に困るようになった元俳優たち。彼ら彼女たちが暮らす「のっぴき庵」。ここは老人ホームか、富夫さんの持ち家か?お金が無い元俳優たちなので、我儘な居候? お金ないのに街に出て飲み食いしているし、家主のはずの富夫さんが使いっ走りになってるし。不思議。それぞれの背景が少し描かれていますが、イマイチ不明で入り込めませんでした。富夫さんが無類のお人好しなのは分かります。2016/10/10
美月0217
35
のっぴきならなくなった俳優さんが老後を過ごすのっぴき庵!一文無しになった俳優さんが住むのっぴき庵!それぞれ思い出やらあるけど、最後は生きがいができて!見たいな、私も!湯の町忠臣蔵!2016/07/02
ネムコ
30
猫の表紙に騙された!‥‥というのは冗談だけど、思っていたのとは違いました。リタイヤした俳優や女優が暮らす「のっぴき庵」。彼らが昔取った杵柄、演技の才能を活かして活躍するお話だと思ったら、もっとリアルな現実がここに。時代劇が作られなくなって声をかけられなくなった脇役、事業に失敗した二枚目俳優。それぞれに過去と傷を抱えた役者たちの老人ホーム。ちょっと切なく、物悲しくなってしまいました。最後のお話が救いかな。2016/10/01
わゆ
20
仕事なしお金もなしなベテラン俳優たちの住む「のっぴき庵」。演じることしかできないけれど演じるという芸がある。湯の町忠臣蔵、観てみたいな。2016/08/16