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内容説明
人は竪、猫は横に親和して住んでいる気がする――。幼いころから生活のなかに猫がいて、野良猫・飼い猫の区別もゆるく日々をともに過ごし、その生も死も幾多見つめてきた思想家は、この生きものに何を思ったのか。詩人の直観と、思想する眼差しと、ともに暮らすものへの愛情によって紡ぎ出すことば。猫を、そして暮らしの伴侶を愛するすべての人に。(巻末エッセイ=吉本ばなな、挿画=ハルノ宵子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あこ
30
猫についてのインタビュー形式のエッセイ。他の方が猫とどのように過ごしてどのようなことを感じ考えているのか知れて興味深かった。挿画がとても愛らしくてハルノ小宵さんの他の作品も見てみたいなと思い検索したら、吉本ばななさんのお姉様でした。そしてばななさんのお父様が著者だと初めて知りました。(汗)「家の中に自分たちとは違う種類の生き物が全く違う優先順位でものごとを決めながら生きているという感覚こそが、猫を飼うということなのかも」とのばななさんの解説に納得。2019/12/07
yumiha
28
猫好きにとっては、ともかく猫はカワユイ。それを「なぜ?」と追及するのが吉本流だと思った。猫の生態の観察から本質を探ろう、ちゅう感じ。猫ちゅう生き物はどれほど慣れ親しんでも、その奥底に馴れないものがある、ちゅうのは同感。かつて鼻水をたらしていた隆明少年の鼻をなめてくれた猫のエピソードと、よしもとばななの後書きで、半野良を看取った隆明が汚れて臭い亡骸の頭を撫ぜて「いい猫さんだった」と繰り返すエピソードは、よかった。でも、編集者の知ったかぶりの質問には、うんざりした。2018/03/24
くみ
21
【猫本を読もう読書会】インタビュー形式のエッセイ。お題はもちろん猫!だけどよく見られる猫好きさんのハイテンションは伺えません。解説で吉本ばななさんが「この本のもりあがらなさというか困った感じが何ともいえない」と仰ってるのに吹き出してしまいました。でもよく読むと吉本さんの猫愛というか生き物を慈しむ気持ちをひしひしと感じる。自分ちの猫を威嚇する野良猫にも餌をあげたり隣家の猫の最期を看取ったり。当たり前のことだから淡々と書かれてたんだなと。ばななさんが「忘れられない風景」と仰ったひとコマは私も忘れられません。2019/02/16
阿部義彦
15
講談社学術文庫の新刊もとは河出文庫で出ていたものです。あまり構成を決めずにゆるく、インタビュアー二人との猫に関する雑観を徒然と語っています。1995年の刊行なのでまだ最愛の猫となったフランシスコは出て来ませんが、長女のハルノ宵子さんのイラストそして次女のばななさんの後書きに彩られた素敵な本になってます。吉本家の猫は本当に拾ったり貰ったり勝手に居着いたりした雑種猫ばかり吉本隆明さんも鼻水を垂らしてたその鼻水を、猫に拭いてもらってた位に猫に馴染んでおりました。多頭飼いが当たり前の家、羨ましく思います。2016/05/19
あつ子🌼
12
へー、吉本隆明さんの猫本?と思わず購入。 変に家族だなんだとベタベタしない、それこそ猫のように付かず離れずの適度な距離感で語られる、吉本センセの猫愛なのです。昔、田舎の祖母もこんな感じで猫を愛でていたなあ。 巻末の吉本ばななさんの解説『その後の吉本隆明と猫』が、とても良かったです。 ご自分も具合が悪いのに、息をひきとった半野良の頭を「いい猫さんだった、いい猫さんだった」と撫でている吉本センセのお姿は、ばななさんの大切な思い出なのだと。 この場面を想像して泣かない猫飼いはいない。きっと。2020/01/13