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内容説明
チェーホフとは何者だったのか? 不幸な子供時代、チェーホフをめぐる女たち、ユダヤ人問題、狂気と牢獄、世紀末ロシアのオカルト信仰、革命、喜劇問題、サハリン、病――ロシア・ポーランド文学の第一人者が、世界的短篇作家チェーホフの文学とその知られざる素顔を、新資料を駆使して描く新しいチェーホフ論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
46
チェーホフは大好きな作家だ。 加えて、敬愛する沼野先生の本とくれば、読まずに済ます法はない。 44才で結核に斃れたとはいえ、医師であり、かつ、売れっ子の作家でもあったチェーホフが七分の絶望とはどういうことだろう。 今回は、いつもにも増してまとまりませんが…/ 中編「六号室」について: ロシアの田舎町にある病院の別棟である「六号室」は、精神を病んだ患者たちを収容している。 「狂人」と医師の議論の中で、どうして自分はこんな病室に閉じ込められているのか、と問うグローモフ(狂人)に対して、→2022/11/20
かんがく
15
チェーホフの作品は未読だが、魅力がたくさん伝わってくる一冊だった。チェーホフと親、恋、手紙、監獄、宗教、ユダヤ人、動物園、サーカス、墓地、喜劇、サハリン、病など幅広いテーマにワクワクする。ドストエフスキーやトルストイへの言及も多いのでロシア文学全体への理解が深まった。2023/02/24
さっちゃん
15
分厚さに尻込みしながら読み始めたが、すぐに夢中に。ロシアの歴史を紐解きながらのチェーホフ解説はとてもわかりやすい。チェーホフ好きなら嬉しくなる小ネタがたくさんつまっています(笑)読んでよかった〜。2017/01/24
しゅん
7
非常にリーダブル。著作、膨大な書簡、関係者の証言から現代的にイメージしやすいチェーホフ像を描き出している。高身長の美男子で、冗談好きの著名作家。当然女性にはモテ、熱狂的な女性読者も多くいたが、家庭に縛られることは周到に避けた。宗教には曖昧な態度を取り、関心を抱きながらも政治への直接的言及は控えた。こうした態度は、多くの日本人には実感として理解できるのではないか。ユダヤ人、動物園、監獄などのトピックでは、ロシアの歴史が複層的に見えておもしろい。海外に行った時必ず墓地に寄ったという話がチェーホフらしくて好き。2017/01/18
ぺったらぺたら子
5
チェーホフの姿を身近に感じる事が出来る、楽しく読める力作。浦雅春のものより遥かに良い。公平で的確で本質的。エピソードにせよ書簡にせよどれもチェーホフ節全開で嬉しくなる。チェーホフ劇は喜劇か悲劇か、といういつもの論争って下らないと思うのだが、著者も「喜劇は最初からそこにあった」と気づいていはいるようだが歯切れは悪い。信仰に関する部分は食い足りず、中途半端。信仰あるいは霊性、というのは四大戯曲を読む一番の鍵だと思うがそれを指摘したものを見た事がない。ともあれ素晴らしい本。2016/05/26